男性が狙われるケースが続出
オンラインでは「録画禁止」

 マルチへの勧誘手法も、コロナ禍で変化している。以前からマッチングアプリでの勧誘は増えていたが、出会いの場が減る中でその傾向はかなり強くなった。「若い人の7~8割はマッチングアプリ経由ではないか」とのことで、特に男性が誘われるケースが多いようだ。
 
「ある男性はアプリで知り合った女性と付き合い、交際1カ月後に、マルチ会員であること、彼にも一緒に活動してほしいことを告げられたそうです」
 
 付き合って1カ月後のタネ明かしにはゾッとするが、「計画的な勧誘だと思います」とズュータンさん。実際、こういった長期計画の勧誘は増えているという。
 
「以前より、目的や社名を明かすまでに長い時間をかけている印象です。ネット上にマルチ商法の情報が相当数出ているので、早めに明かすと警戒されるのでしょう。簡単には切れない深い関係を築いてから誘う傾向になっています」
 
 大前提として、マルチ商法は事前に勧誘目的だと告げずアポをとってはいけない。特定商取引法で禁止されている。だが、実態として「ほとんど守られていない」とズュータンさん。加えて正体を明かすのも深い関係になってからなので、被害者のショックは大きくなる。
 
 コロナ禍ではセミナーや集会のオンライン化も進んでいるが、マルチ商法の場合はこんな特徴もあるという。
 
「ミーティングの録画を禁止するケースが多いですね。専用アプリを開発して、録画禁止、名前・身元を明かすシステムのもと実施している組織もあるようです」
 
 録画を禁止するのは、勧誘の詳細が漏れるのを防ぐためだろう。ちなみに、最近流行の兆しを見せているアプリ「クラブハウス」は、知らない人との会話を楽しめる音声SNS。その特徴のひとつが「録音の禁止」だが、ネット上ではこの特徴に対して「マルチ勧誘に使われそう」という声も聞かれた。
 
 オンラインのマルチ勧誘は録音防止がポイントになっているため、その実情を踏まえた意見だろう。
 
 いずれにしても、マルチの勧誘に欠かせないのは定期的なターゲットとの接触。そこで関係値を高め、考えを少しずつ浸透させていくことだ。このために今やオンラインミーティングは欠かせなくなっている。