1994年に小さなオフィス一室で米アマゾン・ドット・コムを創業し、従業員100万人を超える巨大なIT企業に成長させたジェフ・ベゾス氏が、ついにCEO(最高経営責任者)の座を長年の部下だったアンディ・ジャシー氏に譲り渡すことを決めた。27年間、アマゾンのトップに君臨し続けたタフさの秘密は何か。そして、アマゾンが次に目指す世界は何なのか。アマゾンジャパンの立ち上げメンバーで、現在経営コンサルタントとして活躍する佐藤将之氏に聞いた。(ダイヤモンド編集部 宝金奏恵)
だいぶ前から準備していた退任への道
――佐藤さんは、ジェフ・ベゾス氏とは4回ほど会ったそうですね。
佐藤将之氏(以下、佐藤) 最初に会ったのは、アマゾンジャパンがローンチする(立ち上がる)前です。それこそ今話題の森喜朗首相(当時)が、マイクロソフト創業者のビル・ゲイツさんやソフトバンクグループ創業者の孫正義さんらを集めた会があって、そこにベゾスも呼ばれていたんです。その時は、まだ会社の立ち上げ用の準備オフィスしかない時代で、オフィスのあるビルの下の居酒屋で、テーブルを挟んで「お前は何をやってるんだ?」というような会話をしました。その後も来日した際に昼食会で話したり、テレビ東京の「カンブリア宮殿」の出演に付き添ったりしました。
――ベゾス氏がついにアマゾンのCEOを退任しますが、なぜこのタイミングだったのでしょうか。
佐藤 突然だと感じた人も多いようですが、だいぶ前から準備していたと思います。これまでベゾスが全てのビジネスをCEOとして一人で見てきましたが、2016年に体制を変え、ビジネスを大きく3つに分けました。コンシューマー部門はジェフ・ウィルキー、クラウド部門はアンディ・ジャシー、そしてデジタル部門はベゾス自身がやるという3人体制に変えたのです。