SNS総再生数4000万回超! 英米やヨーロッパ、中国など海外でも注目され、台湾で開かれた個展には2万5000人もの観客が殺到と、いま最も注目の「鬼才」発明家、藤原麻里菜さん。その「無駄づくり」と称する異色コンテンツは、「いったい、どうやって思いついたのか!?」と思わされる、すさまじくユニークなものばかりだ。
今回、その思考の方法について、初めて公開した新刊『考える術──人と違うことが次々ひらめくすごい思考ワザ71』を発表。本書には、これまで数百もの作品を発表してきた藤原さんの71に及ぶ「考える術」が詰まっている。
「言葉から考える」「逆を考える」「短時間で考える」「欲から考える」など、その実践的な思考術は、読めば読むほど脳を刺激してくれる。この本を読めば、「頭がかたくて、発想が硬直的になってしまう人」と「柔軟な頭で面白い発想ができる人」の決定的な差もわかる。その違いについて藤原さんに話を聞いた。(取材・構成/樺山美夏、撮影/柳原美咲)

【その1】「開き直った視点」を持てるか?

――藤原さんのように「柔軟な思考」を身につけるためには、『考える術』の第3章「ひねくれて考える」が役に立ちそうです。視点をさくさく切り替えることができれば、アイディアのつくり方はもちろん、日常会話でも面白い話ができそうだなと思いました。

藤原麻里菜(以下、藤原) 視点ってすごく大事で、意識していないとすぐに物事への見方がかたまってしまうように感じます。『考える術』では、何か問題を発見して、その解決策を考えることがアイディアにつながると言っているのですが、この解決策にも、頭のかたい考え方と、柔らかい考え方があるように思います。

 たとえば、隣の家の住人がシャワー中に歌を歌ってすごくうるさくて困った場合、まっすぐな視点から考えると、管理会社から注意してもらったりすることが正当な解決策になるかと思います。

 でも、柔軟に考えると、開き直るという考え方もできます。私が考えたのは、隣人の歌をカラオケアプリで採点してみるとか、Spotifyで隣人のシャワー時の歌のプレイリストをつくってしまうとか(笑)。

 これは、問題そのものを解消するのではなく、共存するアイディアですね。問題って、必ずしも正面から解決するだけが解決じゃないと思うんです。こうして、開き直って共存してしまうことだって解決になりうる。そういうふうに柔軟に視点を変えていくと、他の人が思いつかないようなアイディアが浮かんできます。

 また、『考える術』では「針を振り切る」という考え方も紹介しています。一見、頭のかたいマジメな解決策も、極端にしてしまうと、意外に面白いアイディアに変化することがあるんです。この視点からは「高速で抗議するマシーン」をつくりました。

 木を切るチェーンとか工具を使ってつくった、すごい勢いで厚い壁を叩きまくるマシーンです。壁を「ドン!」って叩いて隣人を黙らせる「頭のかたい」解決策の、「針を振り切った」バージョンのアイディアです(下記参照。音が出ます)

【その2】「考えが違う人の視点」を持てるか?

──それでもクスッと笑えるアイディアですよね。世の中の怒りをすべて「無駄づくり」で解決できたら、すごく平和な社会になると思います。

藤原「無駄づくり」は、正解がないところがいいなと思ってるんです。つくった作品が人の役に立ったらもちろん嬉しいですけど、たとえ人から見て失敗作だとしても変なものでも、自分が納得できればそれでいい。

 そういうふうに考えると、他の人が考えたアイディアも、そのできがどうであれ全部「それはそれで正解」と思えるので、視点の幅が広がる感じがします。

藤原麻里菜(ふじわら・まりな)
1993年、横浜生まれ。発明家、映像クリエイター、作家。頭の中に浮かんだ不必要な物を何とかつくりあげる「無駄づくり」を主な活動とし、YouTubeを中心にコンテンツを広げている。SNSの総フォロワー数は20万人を超え、動画再生数は4000万回を突破、その人気は中国、アメリカ、ヨーロッパなど海外にも広がっている。2016年、Google主催「YouTubeNextUp」に入賞。2018年、国外での初個展「無用發明展――無中生有的沒有用部屋in台北」を開催、2万5000人以上の来場者を記録した。Awwwards Conference Tokyo 2020、eAT2018 in KANAZAWA、アドテック2016東京・関西などで登壇。「総務省 異能vation 破壊的な挑戦者部門 2019年度」採択。最新刊に『考える術──人と違うことが次々ひらめくすごい思考ワザ71』がある。