一度は撤退したかに見えた「アップルカー」が再び俎上にあがってきた。アップルが複数の自動車メーカーと交渉しているというニュースだ。内外のメディアがその相手はだれか、どんなクルマになるのかを報じている。とくに自動車業界や一般メディアにおいては、GAFAの一画がロボットカーではなく、乗用車市場に参入するのではないかと推測し浮足立った感がある。状況を整理してみよう。(ITジャーナリスト・ライター 中尾真二)
韓国サイドがリークもアップルが嫌悪か
発端は、1月頭の「現代自動車がアップルとEVの委託生産について検討している」というニュースだ。その後、現代自動車傘下の起亜が委託先として交渉が進んでいると報じられ、起亜の株価が一時的に上昇するなど大きなニュースとなった。しかし、このニュースは、出所を調べても韓国東亜日報の地方版としか出てこない。他社の報道はすべて、この報道や話を受けての記事ばかりだ。ほどなく、現代自動車から「交渉はしていない」と正式にアナウンスされる。
結果だけ見ると、起亜、現代、あるいは韓国側のなんらかのグループ(政府・新聞・その他)が、アップルの動きに対して交渉を有利に進めるためリークしたところ、秘密主義を貫くアップルの反感を買い逆効果に終わったようにも見える。