生活保護相談が「なかったこと」に?
八尾市に体質改善は期待できるか

八尾市の母子餓死事件、SOSを見過ごした生活保護関係者の「信じ難い弁明」八尾市からメディアに向けて送られた回答書。文面は非常に素っ気ない(筆者撮影) 拡大画像表示

 2月16日、八尾市役所で八尾市母子餓死事件調査団による八尾市への申し入れが行われた。同席していた筆者は、驚きの連続であった。

 八尾市からは、生活福祉課(福祉事務所相当)の課長と課長補佐が出席していた。生活実態として2人世帯であることを確認していたかどうかについて、課長は「確認していない」と断言したが、課長補佐は「確認したかなあ」と答えた。このような場面では、重要な事実についての「口裏合わせ」くらいはしておくものであろう。そう考えていた筆者は、肩透かしを食わされた気がした。

 また、2019年から2020年にかけて母子を死に追い詰めた「月々2万円の保護費の返還」については、「本人の了解があったからよいと思っていました。今はやっていません」という回答であった。福祉事務所の管理職が生活保護の目的を理解していない可能性を、自ら表明したのである。

 全国で繰り返し報道されている市の不祥事に際して、せめて現在と今後を取り繕う気もないのだろうか。筆者は、調査団の人々から怒りの声が出るのではないかと思ったが、そうはならなかった。脱力のあまり、言うべき言葉が見つからなかったのかもしれない。

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 八尾市は今後について、安否確認マニュアルの作成は約束している。しかし、第三者による調査委員会を設置することについては、「その予定はない」と述べている。

 さらに2021年4月には、生活保護に関係する組織改変が行われ、「相談室」が設置される予定である。このような仕組みがもたらすのは、多くの場合、生活保護の相談が生活保護担当部署に届かず、申請どころか相談さえ「なかった」とされる結果である。

 こと八尾市に関して、「そんな絶望の近未来は決して来ない」と期待することは、難しいだろう。

(フリーランス・ライター みわよしこ)