文句なしの実績!
吉田沙保里の13連覇

 女子レスリング55キロ級の吉田沙保里に国民栄誉賞が贈られることが9日、政府から正式表明された。

 8月のロンドン五輪に続いて9月の世界選手権でも金メダル獲得。この優勝で世界(五輪+世界選手権)13連覇となり、レスリングではこれまでロシアのアレクサンドル・カレリンが持っていた世界12連覇の記録を抜いた。男子130キロ級のカレリンと女子55キロ級の吉田の記録を同列に見ることはできないものの世界13連覇が偉業であることは確か。今後、この記録を破る選手はおそらく出ないはずだ。

 今回の国民栄誉賞は吉田の地元・三重県の人たちが働きかけた効果もあったようだが、これだけの記録を打ち立てたアスリートが受賞するのは当然のこと。世界トップの実力を持つのに五輪の時しか注目されない女子レスリングに光が当てられたのは大きな意味があるし、これを励みに吉田の後を追う有望選手も出現するだろう。そうしたことも含めて今回の政府の決断はよかったといえるし、明るい話題をもたらしてくれた吉田選手には改めて拍手を送りたい。

 これまで国民栄誉賞は19人プラス1団体に授与されていて、吉田は20例目になる。そのうちスポーツ界からの受賞者は7人・1団体の8例だ。第1号はプロ野球の王貞治。以下、登山・冒険の植村直己、柔道の山下泰裕、プロ野球の衣笠祥雄、大相撲の千代の富士、マラソンの高橋尚子、女子サッカーなでしこジャパンと続き、今回の吉田沙保里である。植村直己をスポーツ界に入れるかどうかは微妙だが、国体や高校総体に山岳競技があることだし問題ないだろう。

 なお、受賞を辞退した人が3人いて、そのうち2人がスポーツ界の人物だ。プロ野球の福本豊とイチローである。福本氏の辞退理由は「そんなもん、もろたら立ちションもでけへんようになる」。イチローの辞退理由は「まだ現役で発展途上の選手なので、もし賞をいただけるのなら現役を引退した時に」。それぞれの人柄や人生観が現れていて面白い。