JTBが資本金を現在の23億円から1億円に減資することが分かった。資本金が1億円以下になると、税制上は“中小企業”の扱いになり節税メリットが大きい。スカイマーク、毎日新聞社に続く、旅行最大手の中小企業化は論議を呼びそうだ。(ダイヤモンド編集部編集委員 清水理裕)
最大手のJTBが“中小企業”に?
スカイマーク、毎日新聞…相次ぐ減資
国内旅行最大手のJTBが、資本金を現在の23億400万円から1億円に減資することが分かった。2月12日の株主総会で既に承認を得ており、3月31日付で実施する見通しだ。
資本金は企業の元手であり、株主資本の中に含まれる項目の一つである。
JTBの2020年3月期の連結売上高は1兆2885億円と巨額だ。従業員数もグループ連結で約2万7000人に上る。常識的には、同社は大企業としか思えない。
だが、資本金を1億円以下に減らすと、売上高や従業員数などとは関係なく、税制上は“中小企業”の扱いになる。これが現在の仕組みなのだ。
このところJTBと同様、大企業が資本金をあえて1億円に抑え、税法上の中小企業になるケースが目立つようになっている。例えば、スカイマークは90億円の資本金を1億円に減資。毎日新聞社も3月に、現在の41億5000万円から1億円に圧縮する予定だ。
「資本金を1億円に減資する」と聞いて、15年のシャープの騒動を思い出す人は多いだろう。当時、経営再建中だった同社は、1200億円以上あった資本金を1億円に減らそうとした。法人税への軽減税率の適用など、税制上の優遇措置を受けるのが主な狙いだった。