3つ目は、中小企業の足腰の強化であるが、その実は再編・淘汰である。具体的には、中小企業が中堅企業へ成長する場合については支援するが、中小企業の定義は変えないものの経営強化法等に規定する支援策の対象に係る定義については変更し、資本金が3億円以下であっても従業員数が500人以上の企業については支援しないこととするもの。

 つまり、支援してほしければ対象に加わるようリストラや経営資源の集約化と称したM&Aを進めろということ。この後、次の臨時国会で中小企業そのものの定義を変えて止めを刺すつもりなのではないかといった見解も聞かれるが、その意図は今回の改正法案の中にしっかりと見て取れる。

 すなわち、中小企業等経営力強化法第1条の同法の目的から、創業の支援を削除するとともに、中小企業の支援についての書き振りを簡素化・集約化しているのである。

 これは、支援を受けられる対象の範囲を狭めるのみならず、多様な要望に応じた柔軟な支援を受けられないようにすることを意味すると考えらえる。「意に沿わない中小企業の窮乏化作戦、兵糧攻めを行います」と言っているに等しいということだろう。

 ここが本法案の中心の一つと言っていいだろう。

本末転倒な
経営資源集約化と称したM&Aの推進

 そして、4つ目は、経営資源集約化と称したM&Aの推進、そして事業再編の推進と称したM&Aの推進である。

 こちらもM&Aに係る税制上の優遇措置を設けるほか、所在不明株の買取手続の短縮化が会社法の特例として措置される等であるが、端的に言ってその目的は、中小企業をどうこうする、中小企業を中堅企業化することではなく、M&Aビジネスの推進であろう(この他にも事業再編や事業再生に関する特例も設けられている)。

 事実、中小企業庁には昨年11月11日に「中小企業の経営資源集約化等に関する検討会」が設置され、経営資源の集約化という名目でM&Aの推進に関する検討が進められてきている。しかもその構成員たるや、オブザーバーという位置付けではあるものの、M&A関係事業者ばかりである。

 そればかりではない。政府全体としても「中堅企業・中小企業・小規模事業者の活力向上のための関係省庁連絡会議」が設置され、その下に「中堅企業等の成長促進に関するワーキンググループ」が設置され、M&Aを含む事業承継の促進も一つのテーマとして検討が進められている。

 そもそも、連絡会議自体、以前は中堅企業なるものはその対象には入っていなかったところ、昨年12月7日に内閣総理大臣決定により改組され新たな対象として組み込まれているが、要は中小企業や小規模事業者を再編して中堅企業にしていこう、そのための手段としてM&Aも推進しようということであろう。

 M&A自体を頭ごなしに否定はしないが、多くの手法の一つとしてM&Aを位置付けるというのならまだしも、これではM&A推進のために中小企業の中堅企業への成長と称した中小企業再編を進めるに等しい。手段と目的が逆、本末転倒である。