米議会議事堂
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弾劾裁判「無罪評決」で
共和党内に残る影響力

 過去の単純な延長でない事物の変化を「非線形的」と呼んだりする。グラフの線が折れ曲がった状態だ。

 米大統領選直後、選挙結果に不満を持ったトランプ支持者による連邦議会議事堂襲撃は、民主主義国である米国の政体がクーデターによって危殆に瀕し、非線形的に展開する可能性があることを示した。

 そしてその可能性は、議事堂乱入をあおったトランプ前大統領に対する弾劾決議が否決されたことによってこれからも残る。トランプ氏が共和党内への強い影響力を維持することになるからだ。

 もともとトランプ政権が、政治経験のない公然たる女性蔑視の候補者が、かつてない移民バッシングを売り物にしてできたことからすれば、それ自体が従来の米国の二大政党政治の流れとは断絶したものだったともいえる。

 非線形的な変化の説明は、線形的な場合よりもより複雑な説明が必要であり、そうした分野は政治学や経済学の専門家よりも、小説家が得意とする領域だ。

 非現実的なはずのディストピア小説が奇妙な現実味を帯びて注目されているのは、そのためだ。