トランプ支持者たちが
議事堂に乱入できた理由
「要人警護のプロとして政治的に偏らない姿勢でこの任務を遂行してもらいたい」
目前に迫ったバイデン次期大統領の就任式を前にアメリカ合衆国シークレットサービス(USSS)局長のジェームス・マレーは局員にそんなメモを送った。政治姿勢に言及するなど異例のことである。理由は1月6日の連邦議会議事堂乱入事件で浮き彫りとなったトランプ共和党と民主党の激しい対立だ。
そもそも暴徒と化したトランプ支持者たちがテロ対策で警備が厳しいはずの議事堂になぜあれほど簡単に乱入できたのか。首をかしげた方も多いだろう。実はニュース番組やソーシャルメディアでこれまで公開された現場映像を注意深くチェックするとその答えが見えてくる。
当日は大統領の扇動的な呼びかけに応えて全米から怒りに満ちた群衆が押し寄せてくることは十分予測されていた。それ相応の警備体制が敷かれていたはずだ。暴徒の数が予想外に多かったのか。それもあるかもしれない。
だが映像の中には、日頃からテロを警戒して自動小銃を構え猫の子一匹通さない厳重なバリケードの警備隊がなぜか抵抗もせず、自ら鉄柵を開けて暴徒らを敷地内に入れている姿が映っている。暴徒とスマホで自撮りをする警官や警備員もいた。