合計6人2チームにより
「日本の手法」で行う

「日式訪問入浴」が、なぜこれほど話題となり、多くの人々を感動させたのか。

 その特徴について、下記のように報道されている。

◎入浴の前後に血圧を測ったり手足の爪を切ったりするなどの細かなケアをきちんと行う。
◎入浴の全行程に、丁寧にひっきりなしに優しく声をかけること。例えば、「下着を脱ぎますよ」「これから湯に入りますよ」「頭を洗いますよ」と、こと細かく知らせる。
◎プライバシーを重視、尊厳を保つこと。体が裸にならないように、つねにタオルで覆う。体を洗うのは女性のスタッフが担当する。
◎入浴作業が終わり、素早く衣服を着せて、身の回り片づけ作業は完璧である。

 などなど。

 実は、この「日式訪問入浴」事業は、上海に本社を置く中国最大の在宅訪問介護事業者の福寿康と日本の介護事業者の康新(埼玉県さいたま市、新井健次社長)が手を組んで始めた在宅介護のサービスだ。

 使う入浴関連用具はすべて日本製。この日本の業者が数十年前から中国の介護市場に着目し、福祉用具などの輸出販売をしてきた経緯がある。日本から3人のベテランスタッフを上海へ派遣し、約3週間にわたり、中国人スタッフにみっちりと研修を行った。

 現在は、3人で1チーム、合計6人2チームで上海の各地域を回り、忠実に「日本の手法」で業務を行っている。

「やりがいのある仕事だ」と
誇りを感じる

海での訪問入浴
上海での訪問入浴

 筆者は仕事で以前から両社と業務上の関係を持っているため、直接、話を聞くことができた。

 まず、チームのリーダーである30代女性、林雪芹氏から話を聞いた。

「古い住宅は階段が狭くて暗い。しかも、急勾配です。浴槽や水中ポンプなど一式の入浴措置を搬入するには大変困難で、命懸けと思うことがあります。また、給湯器がない家だと、コンロを使って大きな鍋でお湯を沸かす作業が必要です。身動きが取れない狭い家で、浴槽を置くスペースを作るのは重労働で、体力的にもとても負荷がかかります。そして、長年入浴してない人の家では、悪臭が充満していることが多い。何よりも一番大変なのは、高齢者の不安を取り除くことです。長年お湯に漬かっていない人にとって、入浴はとても勇気がいることなのです。われわれスタッフがかける言葉や入浴の技術は重要なノウハウとなっています」