日経平均株価が3万円台に乗った。1990年8月以来、約30年ぶりのことである。昨年(2020年)11月にコロナショック前の日経平均株価の水準である2万4000円を回復してから、2月22日の引け値までの上昇率は約25%と、かなり急ピッチの上昇となった。ただし、その状況が長く続くとは想定しづらい。(法政大学大学院教授 真壁昭夫)
約30年ぶりに
日経平均株価が3万円台に上昇
2月15日、日経平均株価が3万円台に上昇した。1990年8月以来、約30年ぶりのことである。
昨年(2020年)11月にコロナショック前の日経平均株価の水準である2万4000円を回復してから、2月22日の引け値までの上昇率は約25%と、かなり急ピッチの上昇となった。
今回の株価上昇の背景には、米国を中心に多くの国が金融緩和策を実施して、世界的に「カネ余り状況」が続いていることがある。それに加えて、ワクチン接種が広まり、新型コロナウイルス感染低下への期待が高まっていることが大きい。ワクチン接種によって世界経済が正常化に向かい、今年後半にかけてわが国の主力企業の収益が増加する展開を見込む海外投資家は増えつつある。
ただし、その状況が長く続くとは想定しづらい。
足元の日本株の上昇ペースはやや過熱気味で、このまま調整が一時的なもので済むのか、いずれかの段階で本格的な調整が入るのか、瀬戸際にある。加えて、米国のIT先端銘柄を中心に、相場の過熱感に警戒を強める投資家が増えつつある。また、米国のインフレリスクなど、世界経済を取り巻く不確定要素は多い。今後、わが国をはじめ、株価がやや不安定になることも懸念される。