「控除期間13年間特例」の適用期間を延長
新型コロナウイルスが日本経済をむしばむ異例の状況下で審議中の2021年度税制改正法案(以下、21年度税制改正)。ポストコロナに向けた経済政策としての企業のデジタルトランスフォーメーション投資促進税制の創設や住宅ローン控除の見直しなど、多岐にわたる21年度税制改正の項目の中から、本連載では重要ポイントを6回にわたり解説する。
初回は、個人所得課税のうち、住宅ローン控除と退職所得課税に係る改正について解説する。
住宅ローン控除とは、住宅ローンを利用して住宅の新築・取得・増改築をした場合に、居住年から一定期間にわたって、所得税を減額できる制度である。原則、住宅ローン控除の控除期間は10年であり、各年の借入金の年末残高の1%の所得税額が減額される。近年の改正で、19年10月の消費税率10%への引き上げが経済に影響を及ぼさないよう控除期間を3年延長し、13年間とする特例を設けた。その後、新型コロナの影響で工事が遅延し、住宅への入居が遅れた場合の対応策として、13年間の特例について、一定の時期までに契約した場合に限り、入居時期を1年延長し、21年12月末までにすることとされた。