皆さん、モリカケ問題のときに見せた「疑惑を追及する正義のジャーナリスト」とはまるで別人のようで、借りてきた猫のように大人しいのだ。

 では、なぜ今回の「行政がゆがめられた」という疑惑をマスコミは揃いも揃ってスルーしているのか。モリカケ問題でさんざん「しつこい」「偏向報道だ」などと叩かれたことを反省して、「本人が疑惑を否定したら、それ以上しつこく追及するのはやめましょう」という取材ガイドラインができた可能性もゼロではない。しかし、個人的には、「特大ブーメラン」を恐れて「報道しない自由」を行使しているのではないか、と考えている。

 つまり、「首相の息子」「官僚の接待」という問題を厳しく追及すればするほど、その厳しい追及がブーメランのようにきれいな放物線を描いて、マスコミ各社の後頭部に突き刺さってしまうのだ。

マスコミが自主規制リストの中でも
特に気を遣う「総務省」という存在

 今どき、マスコミがなんでもかんでも好きなように報じられると思っている人の方が少ないと思うが、テレビや新聞にはタブーが多く存在する。巨額の広告出稿をする大企業への批判はもちろん、広告代理店、印刷所、新聞販売所など身内への批判も手心を加えるし、記者クラブや軽減税率という既得権益は基本的に「存在しない」ものとして扱う。

 そんなマスコミが自主規制リストの中でも特に気を遣うのが、「総務省」だ。

 ご存じのように、放送免許が必要なテレビは総務省の監督下にある。それは裏を返せば、総務省の電波・放送行政のお陰で、新規参入に脅かされることなく、電波を独占して商売ができているわけなので、総務省幹部へのロビイングが極めて重要なミッションになるということだ。

 それを象徴するのが、「波取り記者」だ。

 これは昭和の時代、テレビ記者の中にいた、記事を書かずに電波・放送行政のロビイングをする人たちを指す言葉だが、今も似たようなことをやっている人たちが存在する。つまり、程度は違えど、東北新社の「菅部長」と同じようなことをしていると思しき人たちは、テレビ局などの放送事業者の中にはウジャウジャいるということなのだ。