「お金持ちになるにはどうしたらいいのか」という疑問にこの連載ではいろんな角度から答えを示していきます。お金持ちなら誰でも知っている秘密を明かしていきます。
その疑問の答えにたどり着くには「お金」「経済」「投資」「複利」、そして「価値」について知っておく必要があります。少し難しい話も出てきますが、今は完全にわからなくても大丈夫です。
資本主義の仕組みについても、詳しく解説していきます。なぜなら、資本主義の世界では、資本主義をよく知っている人が勝つに決まっているからです。
今後の答えのない時代において、どのように考えながら生きていけばいいのか、ということもお話ししていきたいと思います。さあ、始めましょう!
(もっと詳しく知りたい人は、3月9日発売の『先生、お金持ちになるにはどうしたらいいですか?』(ダイヤモンド社)を読んでください)

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GDPとは何か?

人間は、生きていくには食べなくてはなりません。食料は、自分で野菜を育ててもいいし、川で魚を釣ってもいいのですが、現代社会ではほとんどの人がお金を払って食料を得ています。その方が効率がいいからですね。

つまり大人になったら、働いてお金を稼がなければなりません。

このように「働く」→「稼ぐ」→「消費する」という一連の流れの中でお金のやりとりがされており、このお金が人から人の手に渡って、また別の消費活動を誘発していくという流れの広がりが、経済活動です。

「GDP」という言葉を聞いたことがある人は多いと思います。「Gross Domestic Product」の略称で、「国内総生産」という意味です。

国内総生産(GDP)とは、日本国内で生活している人たちが一定期間内に働いて生み出し、市場で取引された財やサービスの付加価値の総額です。GDPは金額で示されます。2019年度(2019年4月~2020年3月)の名目GDPの実額は559兆7000億円でした。2018年度の名目GDP実額と比較すると、0.5%増えています。この対前年度比でGDPの実額が何%伸びたのかを「経済成長率」と言います。つまり2019年度の日本の実質経済成長率は0.5%となります。GDPは主に、個人消費、民間設備投資、政府支出、純輸出で構成されます。

では、今から500年前の世界GDPと比較して、現在の世界GDPがどれくらい拡大したのかわかる人はいるでしょうか?イギリスの経済学者アンガス・マディソン博士によると、西暦1500年の世界GDPは2480億ドルと推計されています。現在の世界GDPは約88兆ドルですから、なんと354倍に拡大しているのです。

その間、人口は5億人弱から76億人強と15倍以上に増加、一人当たりGDPも20倍以上増加したことになります。西暦1500年までの世界経済はこれほどまでに爆発的に成長できませんでした。総人口もこれほど急激には増加してきませんでした。一体人間の生活に何が起こったのでしょうか?

人間は自分の筋肉以外を動かす
2つの方法を学んだ

まず一つには、自分の筋肉以外を物理的に動かす方法を発見したということでしょう。人間は太古の昔から食べ物を食べることで筋肉を動かすエネルギーを得て、狩猟、農耕を行い、食料を得て、という循環で生きてきました。その活動にはおのずと限りがあります。簡単に言うとエネルギー源が限定されていたので、成長できなかったということです。

そこに、石炭を燃やすことで水を沸騰させ、それを動力に換える方法が発明されました。

これが蒸気機関です。太古の昔から降り注いできた太陽光のエネルギーを宿した塊が石炭であり、石油ですね。これを燃やすことでエネルギーを抽出し、動力に換えるということが可能になったわけです。

こうして寝てる間も動いてくれる自分以外のエネルギーが原動力となって、経済が拡大することが可能になりました。今では科学者たちは化石燃料以外のエネルギー源もどんどん発明、開発しています。

その最たるものが原子力です。原子核を分裂させた時に生まれる莫大なエネルギーを抽出する技術ですが、武器(原子爆弾)開発のニーズから大きな技術進歩が起こるという非常に皮肉な運命をたどり、東日本大震災ではこの技術を制御することがいかに難しいかが露呈しました。しかし、これからも人類は新たなエネルギー源を求めてさらに技術進歩を止めることはないでしょう。

もう一つ爆発的な成長を可能にした原動力があります。自分の筋肉以外を経済的に動かす方法、それが資本主義です。昔から、他の人と協力して何かを作るとか、領主がその領民を働かせるとか、自分以外を働かせる手法は普通にありました。しかし、ある程度閉鎖された関係性の中でのみ成立していたと言えるでしょう。

何か事業を始める時に、見ず知らずの人たちから大金を調達することはできないし、お金が余っていても海の向こうの全く知らない事業家に投資することはできませんでした。それを可能にしたのが、企業という形態であり、資本主義という制度なのです。お金を集約して、事業に投資することで、資本家と事業家を結びつけて効率的に富を増大させる仕組み、これが資本主義です。

飛行機を発明したのはライト兄弟ですが、彼らがキティ・ホークで飛行機を飛ばしただけでは、現在これほどまで便利に人々は国境をまたいでいないでしょう。

彼らのとなりに、この発明が世界を変える、これに投資することで儲けることができると信じた投資家、資本家がいたことは簡単に想像がつきます。

機関車、飛行機、自動車などの乗り物のみならず、インターネット、携帯電話、パソコンなどすべての文明の利器の発展の背景には、それをビジネスとして発展させた投資家の存在、資本主義という仕組みがあるのです。だからこそ、資本主義は「近代最大の発明」と言われるのです。

参考記事
「幸福」と「成功」は別物である
お金持ちになりたいなら お金を求めてはならない

奥野一成(おくの・かずしげ)
農林中金バリューインベストメンツ株式会社 常務取締役兼最高投資責任者(CIO)
京都大学法学部卒、ロンドンビジネススクール・ファイナンス学修士(Master in Finance)修了。1992年日本長期信用銀行入行。長銀証券、UBS証券を経て2003年に農林中央金庫入庫。2007年より「長期厳選投資ファンド」の運用を始める。2014年から現職。日本における長期厳選投資のパイオニアであり、バフェット流の投資を行う数少ないファンドマネージャー。機関投資家向け投資において実績を積んだその運用哲学と手法をもとに個人向けにも「おおぶね」ファンドシリーズを展開している。著書に『教養としての投資』『先生、お金持ちになるにはどうしたらいいですか?』(ダイヤモンド社)など。