「王貞治でも村神様でもない」TBA補正した歴代ホームラン王ランキング、驚きの1位は?

通算打率や本塁打数だけでは、本当にすごい打者は見えてこない。打高の時代もあれば、統一球で本塁打が激減した年もあるからだ。だが、リーグ平均と比較する“TBA補正”を使えば、真に傑出した「最強打者」が浮かび上がる。プロ野球界の常識が覆る、王でもイチローでもないその意外な選手とは?※本稿は、広尾 晃『野球の記録で話したい』の一部を抜粋・編集したものです。

打率だけでは見えてこない
選手の本当の実力

 野球記録について調べながら、常々思っているのは「投打のバランスが年々変化する中で、単純に数字を比較するのは、適切なのか?」ということだ。

 例えば、打率でいうと、最も多くの「3割打者」が出たのは2004年のセ・リーグ、「球界再編」真っただ中だったが、なんと20人もの3割打者が出現した。

 この年の規定打席以上は38人だから半分以上が3割打者。首位打者は広島の嶋重宣(打率.337)。6球団すべてに複数の3割打者がいた。

 その前年、2003年のパ・リーグの3割打者は19人だったが、規定打席以上は31人だから実に6割強が3割打者だった。この年の首位打者は日本ハム小笠原道大(.360)、ダイエーは6人もの3割打者がいた。この2年間のリーグ打率は、NPB史上1位、2位を占める。

 対照的に、1971年のセ(巨人:長嶋茂雄.320)、70年のセ(巨人:王貞治.325)、62年のセ(広島:森永勝治.307)、59年のセ(巨人:長嶋茂雄.334)、2024年のパ(ソフトバンク:近藤健介.314)は1人だけ。