有力企業がこぞって
スポンサーに名乗りを上げる理由
このアプローチを何十もの大学が模倣し始めているが、企業にとってもそれは、低コストのリバース・イノベーションの宝庫であり、採用、提携、買収に活用できる。実際、GEヘルスケアは2010年12月に、バイオデザイン・プログラムからスピンアウトしたエンブレスと、低体温を防ぐための低コストの新生児用の保温器の流通で提携することを発表した。
現在、メドトロニック、ジョンソン・アンド・ジョンソン、アボットなどのほとんどの大手医療機器メーカー、そして、新興国市場からのイノベーションの導入に関心を寄せる何十社ものベンチャーキャピタルが、スタンフォード大学のバイオデザイン・プログラムのスポンサーに名を連ねている。
エクストリーム・ユーザー(極端なユーザー)(注)の声に耳を傾け、プロトタイプをつくってテストし、改善を加えるという、一連のプロセスを繰り返していくデザイン思考は、リバース・イノベーションを補強する役割を果たす。
バイオデザイン・プログラムのような大学のプログラムは、多国籍企業が新興国市場で起業家的なエコシステムを促進することにより、合弁事業や子会社のローカル人材を育成するうえで役立つ。またそれにより、イノベーションが加速化される(ビジャイ・ゴビンダラジャン。トロント大学の学生、ジャスティン・チャクマとの共同執筆による)。
【訳注】
多数派や平均的な人々ではなく、当該テーマについて強い思い入れや嫌悪感を持った人々。
訳:渡部典子
“How to Build a Reverse Innovator,” HBR Blog Network, september 6, 2011.
http://blogs.hbr.org/govindarajan/2011/09/how-to-build-a-reverse-innovat.html
(C) 2012 Harvard Business School Publishing Corporation.
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『リバース・イノベーション――新興国の名もない企業が世界市場を支配するとき』
ビジャイ・ゴビンダラジャン+クリス・トリンブル著 渡部典子訳 小林喜一郎解説
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【第1部】 リバース・イノベーションへの旅
第1章 未来は自国から遠く離れた所にある
第2章 リバース・イノベーションの5つの道
第3章 マインドセットを転換する
第4章 マネジメント・モデルを変えよ
【第2部】 リバース・イノベーションの挑戦者たち
第5章 中国で小さな敵に翻弄されたロジテック
第6章 P&Gらしからぬ方法で新興国市場を攻略する
第7章 EMCのリバース・イノベーター育成戦略
第8章 ディアのプライドを捨てた雪辱戦
第9章 ハーマンが挑んだ技術重視の企業文化の壁
第10章 インドで生まれて世界に広がったGEヘルスケアの携帯型心電計
第11章 新製品提案の固定観念を変えたペプシコ
第12章 先進国に一石を投じるパートナーズ・イン・ヘルスの医療モデル
終章 必要なのは行動すること
付録 リバース・イノベーションの実践ツール
ネクスト・プラクティスを求めて