ビジャイ・ゴビンダラジャン
WeWorkがIT企業ではないことが、なぜ問題なのか
シェアオフィス大手のWeWork(ウィーワーク)が上場を計画しており、その評価額の高さも相まって、同社の動向が注目を浴びている。ウィーワークはみずからを成長性の高いIT企業だと位置づけているが、ビジャイ・ゴビンダラジャン氏らは、その主張に正面から反論する。IT企業の5つの特徴とは何か、ウィーワークがそれらの条件を満たしていないことはなぜ問題なのか。

大企業と小企業の差は縮まるどころか広がっている
伝統的大企業はイノベーションを起こせずに苦しんでおり、ベンチャー企業が彼らの地位を脅かしている。そうした見解を目にすることは多いが、本当にそうなのだろうか。ビジャイ・ゴビンダラジャン氏らが過去30年以上のデータを綿密に調査した結果、実際には、大企業はその地位を盤石にする一方で、小企業の成長は頭打ちになっていることがわかった。

米国では昨今、上場企業の数が減少傾向にあるという。株式市場が経済のバロメーターであるという考え方に基づけば、この変化は憂うべきことのようにも思える。しかし、イノベーション理論の大家ゴビンダラジャンらによれば、この潮流はデジタル企業の台頭による必然であり、むしろ称賛すべきことだという。

消費者向けドローンの世界最大手である中国のDJIは、驚くべき急成長を遂げている企業の一つである。いまや、全世界で70%の市場シェアを誇るまでになった。同社をはじめ、多くの中国企業がグローバルに成功を収めている要因をひも解くと、そこには3つの優位性があると筆者らは言う。

IoT時代の到来は、何をもたらすのか。これには多種多様な議論が見られるが、イノベーション理論の大家であるゴビンダラジャンは、「デジタル企業 vs. 既存工業企業」の構図で説明する。その世界で価値を生み出すためには、両陣営ともに、乗り越えるべき3つの課題があるという。

インド市場への参入を目指す消費財メーカーは、どうすれば成功確率を高められるのか。基本的だが意外なほど実践されていないのが、eコマースの活用と現地調達であるという。

2013年、アマゾンはインドに進出。販売業者の勧誘とeコマースの普及に向け、地道な努力を重ねた。その一例が、「お茶屋台」で街を巡回しながら商店主を説得して回るという施策である。

優れたイノベーター企業となるためには、「中核事業の最適化」「新規ビジネスモデルの創出」「過去の忘却」という三位一体のサイクルを続ける――。これが、ゴビンダラジャンの提唱する「スリーボックス・ソリューション」の要旨だ。同名の新著から一部抜粋をお届けする。

ニューイングランド・ペイトリオッツは、2000年以降12度の地区優勝と4度のスーパーボウル制覇を成し遂げ、NFL史上最強豪チームの1つともされる。その長期にわたる成功の秘訣を、ゴビンダラジャンが独自の視点から読み解く。
ゴビンダラジャンが牽引し注目を浴びている壮大なプロジェクト、「300ドル住宅」。その使命と目的、設計思想、ビジネスモデルはリバース・イノベーションで貫かれている。今回はプロジェクトの背景と全体像を紹介しよう。

世界規模のイノベーションは、多くが先進国の多国籍企業によって推進されている。しかしそれを支えるのは、新興国にいる多くの卓越したエンジニアたちであることを見逃すべきではない。「リバース・イノベーション」の提唱者ゴビンダラジャンらが、人材・アイデア供給源としての新興国の重要性を示す。本誌2014年2月号(1月10日発売)の特集、「日本企業は新興国市場で勝てるか 」の関連記事、最終回。

「失敗力」を使って、創造性を発揮する
進んで失敗を望め――こう言われても、とまどうかもしれない。しかし大きな失敗を防ぐために、小さな失敗が有効になるとしたらどうだろう。それが実証された、ディズニーの事例を紹介する。
第8回
リバース・イノベーション人材を多数輩出するスタンフォード大学のバイオデザイン・プログラム――ビジャイ・ゴビンダラジャン
「リバース・イノベーション」の入門編の連載第8回。ビジャイ・ゴビンダラジャンは、スタンフォード大学のバイオデザイン・プログラムが、先端的なリバース・イノベーションの一大人材育成拠点となっていると紹介。リバース・イノベーション人材を育てる環境が必要であることを訴える。

第7回
たった300ドルの超低価格住宅が引き起こすリバース・イノベーションで世界を変える方法――ビジャイ・ゴビンダラジャン
「リバース・イノベーション」の入門編の連載第7回。ビジャイ・ゴビンダラジャンは、300ドル(約2万4000円)という信じられない超低価格の住宅をつくるプロジェクトを牽引していることでも注目されているが、その設計思想には、リバース・イノベーションの考え方が随所に生かされている。

第6回
リバース・イノベーションを習得したいなら、日本の過去の成功体験を忘れることです独占インタビュー――ビジャイ・ゴビンダラジャン
注目の戦略コンセプト、『リバース・イノベーション』の入門編の連載第6回。今回は、ビジャイ・ゴビンダラジャンの独占インタビューをお届けします。世界がリバース・イノベーションへ向かう潮流と、日本企業がどのように取り組むべきかについて語ります。(聞き手/ジャーナリスト 大野和基)

第3回
インド発のリバース・イノベーションでひげ剃り市場のリーダーの座を守ったP&G――ビジャイ・ゴビンダラジャン
注目の戦略コンセプト、「リバース・イノベーション」の入門編の連載第3回。コンセプトの生みの親でもあるビジャイ・ゴビンダラジャンによるコラムの翻訳。消費財の世界的企業P&Gは、母国での圧倒的シェアと高機能商品を持ちながら、インドでなぜ、どのようにイノベーションに取り組んだのか。

第2回
未来の原動力を生み出すためには?リバース・イノベーションへの4つのステップ――ビジャイ・ゴビンダラジャン
注目の戦略コンセプト、「リバース・イノベーション」の入門編の連載第2回。コンセプトの生みの親でもあるビジャイ・ゴビンダラジャンによるコラムの翻訳。リバース・イノベーションは、どのような原理で「リバース」するのか。事業は、どのように発展していくのか。その成功のポイントを語る。

第1回
なぜ、リバース・イノベーションは、世界中から注目されるのか?――小林喜一郎
注目の戦略コンセプト、「リバース・イノベーション」の入門編第1回。リバース・イノベーションとは何か。なぜ名だたるグローバル企業がこぞって注力するのか。コンセプトの生みの親である経営学者のビジャイ・ゴビンダラジャンが自ら語る動画も紹介。
