新型コロナウイルスの起源に関して全容解明を目指す世界保健機関(WHO)のチームは、中国での現地調査に関する暫定報告書の公表を見送る方向だ。背景には、調査を巡り米中の緊張が高まっていることに加え、世界の科学者で構成されるグループが新たな調査の実施を要求していることがある。二十数人の科学者グループは4日、公開書簡の中で、新たな国際調査を要求する考えを示した。最初に感染が確認された中国・武漢市における現地調査について、WHOは研究所からのウイルス流出説も含め、起源を検証するのに十分なアクセスを与えられていないためと説明している。また、政権交代でWHO脱退方針を撤回した米国も、調査に関する透明性の向上を求めている。現地調査に関する報告書を精査する構えとしており、中国に対し、すべての関連データを公表するよう迫っている。これには、2019年12月の最初の感染例に加え、それ以前の感染の可能性に関するデータも含まれる。
コロナ起源調査に広がる不信、WHOは暫定報告見送り
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