ドルは今年の下落予想を裏切っている。  ドルは主要通貨のバスケットに対し、年初から約2%上昇した。投資家の間では、ドル高は世界の同時回復が期待ほど順調ではない兆しだとみられている。  これは米株市場や米国債市場の発するシグナルと食い違う。世界が新型コロナウイルス対策の経済活動規制から脱する中、米株や米国債の投資家は景気回復に賭けている。ドルの上昇はデリバティブ(金融派生商品)市場のドル安を見込んだ持ち高とも相反する。  ドル高が続けば、ドル建ての借り入れへの依存度が高い新興国市場の回復が損なわれかねないとの懸念もある。