「時代は振り子。自分らしくいれば時代が寄ってくる」

作家・水野敬也が語る「手放しで自分を認めてくれる人を見つけよう」Photo/曽川拓哉

川原:時代の流れに乗る感覚は、重要だと思います。麻理恵さんの場合、たまたま5歳から片づけに興味を持って研究を続け、その集大成として本を出した時に、「脱・大量消費」や「マインドフルネス」といった価値観が広がる流れと合わさった。

 ただ、時代の流れには揺り戻しも必ずあるはずです。「片づけが大切だ」の流れから、「やっぱりモノはたくさん持つべきだ」の流れに変わるときも、いずれ来るのかもしれません。

 そして、また逆の流れに戻っていく。要は、自分らしくいられる活動を続けていると、どこかのタイミングで時代の流れに乗れるときがやってくるんです。

水野:ピンと来ました。僕、要約してもいいですか?

川原:ここからおいしいところなのに! どうぞ(笑)

水野:ビジネス書を読み込んできた水野が解説します。つまり、「振り子」なんです。時代という振り子を追っているだけでは、いつまで経っても振り子の後ろにいます。

 しかし、自分を同じ位置に保ち続けていたら、いずれは振り子と重なるときがやってくる。そういうことですよね?

川原:そういうことです! ずるい!

水野:だから、自分らしくいることは一見リスクが高そうで不安を抱えがちかもしれないけれど、むしろ極めることで時代が寄ってきてくれるものだ、と。

川原:まさにそうです。そのときに重要なのが、「あなたの自分らしさはすばらしいよ」と言ってくれる人に出会えるかどうかです。やっぱり、たった一人で自分を信じ続けるのはしんどいので。水野さんにもそういう人がいませんでしたか?

水野:いました。文響社の社長の山本周嗣が、僕にとっての「自分らしさを信じてくれた人」です。

 彼は中学時代からの幼なじみですが、まだ何者でもなかった僕の書いた原稿を読んで、「敬也、これはすばらしいから絶対に出すべきだ」と言ってくれたんです。

 あいつがいなかったら、今頃、僕はどうなっていたんだろう。僕は山本に出会えたし、こんまりさんは川原さんに出会えた。まだそういう人に出会えていない人は、どうしたらいいんですかね?