このコロナ禍では、成長を目指すだけではなく、ムダを省き、筋肉質な経営を目指さなければいけません。リモート経理を導入できれば、「コスト・働く時間」を劇的に少なくすることができます。経費精算のためにわざわざ出社していては、時間とお金をドブに捨てているようなもの。そもそも経理とは「経営管理」の略称。「営業」が会社の攻めを司る剣なら、「経理」は守りを固める盾です。右肩上がりの時代はどこの会社も営業重視でしたが、コロナ禍では経理がいっそう重要になりました。
本連載は、「リモート経理を導入するためのノウハウ」を紹介するものです。著者は「会計とITの融合」を得意とする税理士、井ノ上陽一氏。『リモート経理完全マニュアル 小さな会社にお金を残す87のノウハウ』を出版し、「いつでも・どこでも・誰でも」安心に経理業務ができるメソッドをあますところなく伝えています(イラスト:田渕正敏)

経費精算に領収書はいらない、レシートでいい

領収書はいらない、レシートでいい

 次のようなやりとりをしたことはありませんか?

 あなた「領収書をお願いします」
 店員「宛名はいかがいたしましょうか?」

 あなた「○○株式会社でお願いします」
 店員「○△様ですね」

 あなた「いえ、○○です」
 店員「失礼しました」

 こんなやりとりはもう世の中から消し去りましょう。領収書をわざわざもらう必要はありません。

 通常、モノを買えばレシートを受けとるかと思いますので、そのレシートで経理をするようにしましょう。店員の方の手間もなくなります。世の中のためにもいいことなのです。

 効率化には、「誰かを待たせているかどうか」という視点が大事です。自分だけではなく、全体の効率化を考えなければいけません。

 宛名のある領収書が経理上必ずしも必要なわけではなく、レシートで十分要件を満たします。

 その要件は、「日付、店の名前、内容、金額」です。

 この4つがあれば問題ありません。店の名前もなく日付も印字されていないものは要件を満たしませんので、その場合は領収書をもらわなければいけません。

 レシートであろうと領収書であろうと、その中身でチェックするようにすれば会社の経費として認めることができるわけです。

 社内規定で領収書をもらう必要があれば、その規定自体を変えてしまいましょう。リモート経理をやるにはその覚悟も必要です。