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廉宗淳 韓国はなぜ電子政府世界一なのか

日本の本質は社会主義国家。資本主義国家の真似をせず、国民性を生かしたアナログな価値を追求する最高級品質のものづくりをなぜ目指さないのか

廉 宗淳 [イーコーポレーションドットジェーピー株式会社代表取締役社長]
【第10回】 2012年10月23日
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国のGDPが減っても国民所得が上がる方法を考えるべき

 では、どうするべきでしょうか。私は経済学にはド素人ですが、自分なりの仮説を申し上げたいと思います。私は、人口が減少し、国のGDPが減っても、国民所得が上がる方法を考えるべきだと思います。例えばの話ですが、日本人には高機能の車を作る能力があるのだから、1億円でも売れるような自動車を開発し、100万円や200万円の自動車の製造はすべてインドや中国に任せるべきです。インドや韓国、中国と価格で勝負するというのは得策ではありません。

 日本人の能力や技術力を考えたら、どうして欧州のロールスロイスやマイバッハのような5000万円以上するような最高級車を作ろうとしないのか、私には不思議です。トヨタのプリウスを1万台売るよりもマイバッハを100台売る方が、利益率は高いのではないでしょうか。

 工場を新興国に移転し、国内の産業を空洞化させるよりも、国内で世界の富裕層向けの利益率の高い製品を開発、製造する方が、日本の未来のためには得策なのだということを私は強調したいのです。

日本の競争力の源泉は、日本人のアナログな国民性にあります。アナログと言ったら古いと思うかもしれませんが、それは大きな勘違いです。例えば、日本の自動車には、優れた乗り心地、座り心地、走り心地、居心地があります。これらはすべてアナログなものです。最後は人間の手で微調整を行う。そこに匠の技があるのです。ベンツやヒュンダイ自動車に対して、日本車が勝てるのは、この部分だと思います。

 ところが、日本の自動車メーカーは、数値化できるところばかりで勝負しようとしているように私には見えます。日本人はアナログ的な感覚が強みなので、その強みを捨てて、デジタル的な感覚と勝負すべきではありません。乗り心地といった職人魂に火が点くような部分に特化し、そちらを極めることです。日本人は、拡大志向から縮小志向に方向転換をした方が成功するのではないでしょうか。高くても良いものを買う人は世界中に数多くいます。そういった顧客にターゲットを絞り競争力を高めていくことです。

 前回(第9回)、私は有田焼の湯飲み茶碗の話をしました。普段使いの湯飲み茶碗に高額の有田焼は品質過剰ですが、さまざまなお客様をお迎えする玄関に、お茶の間に有田焼の花瓶を飾ることは品質過剰ではありません。日本は同じ有田焼であれば、花瓶を極めるべきだということです。

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廉 宗淳
[イーコーポレーションドットジェーピー株式会社代表取締役社長]

1962年生まれ。大韓民国空軍除隊後、国立警察病院、ソウル市役所に 勤務。日本でのプログラマー経験を経て、韓国で株式会社ノーエル情報テック設立。2000年、日本でイーコーポレーションドットジェーピー設立。青森市の 情報政策調整監、佐賀県情報企画監、総務省の電子政府推進委員や政府情報システム改革検討会構成員を務めている。

廉宗淳 韓国はなぜ電子政府世界一なのか

お隣の韓国は、国連の電子政府ランキングでここ数年、1位が指定席。かたや、日本は順位を下げ続け2012年は18位。韓国の電子政府は何がすごいのか、日本が学ぶべきポイントはどこか。90年代前半に日本でITを学び、現在は、行政、医療、教育などの分野でITコンサルティング事業を展開する廉宗淳氏が、日本の公共サービス情報化の課題を指摘する。

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