廉 宗淳
第14回(最終回)
今回は、筆者が佐賀県教育庁の情報企画監として実際に携わった、県立高校全校への電子黒板導入に関するお話。「電子黒板は単なる教具の電子化ではなく、授業を抜本的に変える手段である」ととらえ、次世代の子どもたちにふさわしい教育環境とは何か、取り組みを通じて考えたこと。

第13回
韓国の電子政府が提供している、国民に感動を与える行政サービスを、日本で提供できない根本的な理由は複数ある。中でも「国民一人ひとりを特定できる番号制度」「自治体同士をシームレスに連携させるインフラ」「組織的かつ戦略的に電子政府を進めるリーダーシップ」の三つの不在が問題だ。

第12回
11月に韓国のソウルで2日間にわたり開催された「GeGF2012(グローバル・E-ガバメント・フォーラム)」で目の当たりにした韓国のIT国家戦略の凄みについて紹介する。この会議には19ヵ国から要人級の参加を含め、国連、世界銀行、学界、国内外のIT企業など延べ700名余りが参加し、熱い議論を交わした。

第11回
12月の大統領選挙を目前に控える韓国(12月19日投開票)。激しい接戦を繰り広げている3人の候補者に共通しているのは、ICTを韓国の戦略産業の中心と位置付けている点だ。これまでになくICTを駆使する選挙戦となっている大統領選の模様を紹介する。

第10回
今の日本企業は、仕事ができる人を雇用不安に陥れる米国式経営の悪いところと、引退すべき人間をいつまでも囲っておく日本式経営の悪いところの両方を併せた経営をしている。グローバル市場で勝ち抜くには、日本人の国民性の利点が活きる、数値化できない感覚にフォーカスしたものづくりが必要だ。

第9回
グローバルに見渡すと、IBMを筆頭に大手IT企業はシステム開発よりもサービスの提供により利益を得ようとする動きが一般的だ。いわゆる何でもやりますから、一番有望な分野へと大胆にシフトする。今一度、日本のICTベンダーは、限られた資源を、何にどう配分すべきかについて、深く考えるべきだ。

第8回
このところ、日本企業に関する明るい話題をほとんど耳にしません。根本原因はどこにあるのでしょうか? 今回は、製造業、そして、電子自治体政策に深く関わっているICTベンダーの実例を挙げながら、日本企業に必要な変化を考えてみました。

第7回
韓国は、日本と同様、天然資源に乏しく、儒教思想により、人材を最も大切な資源と考え、教育を最高の美徳とする意識が浸透している。年収の半分以上を子どもの教育費に充てる親も少なくないが、国政レベルでも教育のICT化に高い関心が示されている。

第6回
どうすれば、親の所得や住んでいる地域によって生じる教育格差をなくし、教育の機会均等を実現できるのか。その突破口はICTにあると確信している。今回は、ICTを駆使した学校教育で先行的な取り組みを行っている韓国の事例を紹介する。

第5回
今や韓国は、「世界一の電子政府・電子自治体」と評されている。韓国の電子政府・電子自治体のどこがすごいか。実際に韓国の電子行政サービスは、サービスの消費者たる国民を喜ばせる、感動させるものだ。最近、筆者が体験した例を紹介する。

第4回
韓国の社会・政治において、インターネットが大きな影響を占めるようになったきっかけは、今から12年ほど前にさかのぼる韓国版ジャスミン革命にある。1997年に深刻な経済危機に陥った韓国では、翌年大統領に就任した金大中政権がIT産業を奨励し、インターネットは急速に普及した。

第3回
韓国では「インターネット民主主義」が定着している。議員立候補者も有権者もインターネットを活用し、世論が形成されていく。その一方で、選挙に出るとプライバシーがすべて公けになり、インターネットを通じて公開されてしまうといった問題も発生している。

第2回
韓国ソウル市の公共交通網は、真の情報化により、市民の利便性を大幅に向上した典型的な例だ。このプロジェクトでは、ITベンダーが単なる「システム屋」としてのシステム設計だけでなく、都市計画全体を見据えた大きなストーリーを描くことができたことが、成功に繋がった。

第1回
改札を機械化する日本、改札をなくす韓国――情報化の本質とは何か
韓国の新幹線KTXのホームには改札がない。「駅務の自動化」を突き詰めている。日本では、情報化によるコスト削減というと、人のやっていたことを機械で置き換えていくという発想で、高度に機械化された改札装置を設置することになるが、韓国では、車掌に端末を持たせて、全駅の改札を廃止してしまう。
