菅首相は反対の声に一切反応せず
『聖火リレー』が、3月25日に始まった。
聖火リレーの是非はメディアで語られる機会もあまりなく、予定通り、福島県の「復興のシンボル」とされるナショナルトレーニングセンターJヴィレッジをスタートした。
スタートの直前の23日になって、菅義偉首相は聖火リレー出発式典を欠席する意向を示した。「国会の日程などを総合的に勘案して、今回は出席を見合わせる」という。たしかに2021年度予算案の採決に向けた審議が大詰めを迎える時期だが、世論調査で五輪反対派がまだ上回る状況で、批判の矢面に立つ面倒を回避した感は否めない。
首相は文書で「人類が新型コロナウイルスに打ち勝った証しとして、東日本大震災からの復興を世界に発信する機会として、安全・安心な大会を実現するという決意は変わっていない」、「広く日本中の皆様に大会が近づいていることを実感していただく貴重な機会として、聖火が全国を巡ることを期待している」との考えを示した。相変わらず、反対の声に一切反応しない、一方的な姿勢に貫かれたコメントだ。このコメントがもう少し違ったら、国民が東京五輪により向き合い、議論するきっかけを与えられたかもしれないと思う(これについては後述)。非常に残念だ。