相場のピークにつながる
“熱狂”が生まれる心理的な背景

 面白いことに、そういう人は実際に相場が下がると「もっと下がるかもしれない」と思って買えないことが多い。そうこうしているうちにまた上がり始める。「もう辛抱できなくなって買う」という人が増えてくる。そうやって買いたくても買えなかった人が辛抱できずに買うようになり、最後に誰も買いたい人がいなくなった時、そこが相場の天井なのである。

 興味深いことに、人間は自分の持っているものは高く評価するクセがある(保有効果)。したがって弱気なことを言っていた同じ人が、株を買った途端に今度は自分が株を持っているから強気になるのだ。だからテンプルトン氏の言うような“熱狂”が生まれるのだが、残念なことにそこがピークになる可能性は極めて高い。なぜなら、買いたいと思っている人がみんな買ってしまうと、潜在的な「買いたいパワー」はなくなってしまうので、もう下がるしかないからだ。

 実は、世の中の投資家がどういう状況になっているか、つまり潜在的な「買いたいパワー」がどれぐらいあるかは、昔に比べるとわかりやすくなってきている。この理由はSNSで個人的な相場観や見通しを語る人が増えてきているからだ。プロの投資家がメディアやSNSで語ると、ややもすればポジショントーク的な場合もあるので、少し注意した方がよいだろう。一方で、個人投資家の場合は「買いたい弱気」、逆に「売りたい強気」に基づいた非常にわかりやすい言動になることが多いので、市場の位置や見通しを見る時には参考にできるのではないかという気がする。

 でも、そうした声の多くは相場にとってはノイズにすぎない。必要以上にそういう声に耳を傾ける必要はなく、マーケットの状況を判断する時の一つのヒントとして活用すれば良いだろう。もちろん、そうした他人の発言に惑わされることなく、自分自身で考え、判断することが何よりも大切であることは言うまでもない。

(経済コラムニスト 大江英樹)