中国製品に値上げの波、世界的インフレ懸念もPhoto:Barcroft Media/gettyimages

【香港】原材料価格が上昇し、サプライチェーン(供給網)の制約が長引く中、中国の輸出業者の多くは外国向け製品の値上げに駆り立てられている。これを受け、世界的なインフレ圧力が強まるとの懸念も高まっている。

 そうした懸念はここ数日で深まった。スエズ運河で大型コンテナ船が座礁し、新型コロナウイルス感染拡大やコンピューター用半導体などの製品に対する予想以上の需要を背景に逼迫(ひっぱく)していた世界の供給ラインに一段と負荷がかかったためだ。

 中国南部の仏山市を拠点とするアウトドア家具メーカー、レシスタAVのディレクター、ルネ・デジョン氏は、今夏の新規受注について約7%値上げする計画だという。

 その主因は、中国やインドネシアにある同社工場で、クッションやスポンジ、フレームの生産に使われる化学品や金属の価格がここ数カ月で急騰していることにある。顧客が負担することが多いとはいえ、海上輸送運賃も昨年6月からおよそ90%上昇している。

「中国で25年近い経験があるが、このような状況は初めてだ。こんな輸送コストは見たこともないし、鉄鋼とアルミニウムの価格も高騰している」とデジョン氏は語り、同社の利益率が圧迫されていると付け加えた。