
約31億円に上る金銭詐取などで大問題となったプルデンシャル生命保険のライフプランナー(LP)。同様に多数のLPを抱えるソニー生命保険でも、20億円規模の不適切な金銭貸借が行われていたことがダイヤモンド編集部の取材で分かった。また、独立開業できる代理店制度でも多数の不正が発覚し、やむなく制度を廃止することになった。いったい何が起こっているのか。そこで連載『ダイヤモンド保険ラボ』の本稿では、その中身を深掘りする。(ダイヤモンド編集部副編集長 藤田章夫)
ソニー生命でも「20億円規模」の
不適切な金銭貸借が発覚!
過去30年超にわたり、営業社員・元営業社員ら約100人が顧客約500人から約31億円に上る金銭を詐取するなど、業界を揺るがす大問題が発覚した外資系生命保険大手のプルデンシャル生命保険。経営トップの更迭だけでなく、新規営業の90日間の停止や報酬体系の抜本的な見直し、営業社員の管理体制の強化、金融庁による立ち入り検査の実施など、かつてない事態に追い込まれている。
プルデンシャルの営業社員は「ライフプランナー(LP)」と呼ばれ、国内大手生保会社の営業職員とは一線を画し、「保険のプロフェッショナル」を標榜してきた。そのLPたちが手を染めた金銭詐取の手口は、実に古典的なものだった。
手口は大きく二つに分類できる。一つ目は、プルデンシャルの制度や保険業務に関連したものだ。社名が記載された書面を利用したり、プルデンシャルの社員のみが利用できる社員持ち株制度の名称を用いたりして、顧客をだまして金銭を受け取ったというもの。
二つ目は、「元本保証で絶対に利益が出る投資商品があるのでお金を預けないか」というふうに、もうけ話を持ち掛けたり、金銭を借り受けたりしたというもので、プルデンシャルの制度や保険業務とは関係ないところで悪事を働いたというわけだ。
2026年1月16日にプルデンシャルが公表した資料によれば、後者が30.8億円と圧倒的に多く、不祥事案件の大半を占めている。資料には「保険業務に関連する行為ではありませんが、社会的責任を認識し、退職後の行為も含めてお知らせします」と書かれている。
たとえ保険業務に関わりのない案件であっても、プルデンシャルのLPが保険契約者に対して不適切な行為を行ったことに対し、道義的責任があるというわけだ。事実、保険業務に関わらない案件が大半であったにもかかわらず、プルデンシャルの案件は大炎上した。
もっとも、保険会社からすれば、保険業務に関係しない不祥事案件の取り扱いは難しい問題だ。監督責任があるとはいえ、あくまで営業社員個人が起こした問題であり、保険会社は補償に応じられないケースが少なくないからだ。だが今回、プルデンシャルがそこに踏み込んだことで、不祥事案件とされるハードルが一段低くなった。
そうした中、プルデンシャルと同じく多数のLPを抱えるソニー生命保険の元LPが、数年前に顧客約100人に対して、20億円規模の不適切な金銭貸借を行っていたことが、ダイヤモンド編集部の取材で分かった。
20億円といえば、第一生命保険の80代の元営業職員(山口県)が起こした約19億円の金銭詐取を超える規模だ。にもかかわらず、ソニー生命が公表しなかったのはまさに、LP個人の金銭にまつわる案件だと判断したからだ。それが今や世間的に許されないのはプルデンシャルが証明したかたちだ。
では、この不適切事案の中身とはどういったものだったのか。次ページでは、具体的な手口のほか、対象顧客や期間といった不適切な金銭貸借の中身を明らかにする。また、同社による金融庁への報告の中身に加え、この事案が同社内で極秘に処理された背景についても解説する。さらに、この事案以外にもソニー生命の独立開業できる代理店制度でも頻発している不祥事案ついても詳述。ライフプランナーのビジネスモデルが抱える構造的な問題について指摘していく。







