ANAグループが非航空収入の拡大を目指して事業会社を再編した。これまで航空券を販売していた社員が地域創生を命じられたり、マイル会社のトップに“ジョーカー”が送り込まれたことにより、非航空部門の激変が始まる。(ダイヤモンド編集部副編集長 臼井真粧美)
10億円あった資本金を1億円に減資して“中小企業”となったANAセールス(旧社名)が4月、グループ再編によってまるで小さな“ベンチャー”になった。
従来事業のうち航空券販売は残るが、支店は地域創生事業に集中する。地域創生で食べていくことを宿命付けられたのだ。
最近、JTBなどコロナの直撃を受けた企業が相次いで減資を行っている。資本金が1億円以下になると中小企業と見なされて税負担が軽くなることがその大きな動機だ。
ANAセールスは減資とともに事業規模を縮小した上、事業内容を大きく転換した。旅行事業を別会社に移管して地域創生事業会社に転身し、社名を「ANAあきんど」に変更。なんともベンチャー感が漂う。
ANAホールディングス(HD)傘下である旧ANAセールスのもともとの社員数は約1300人。このうち約600人が旅行事業、約700人が航空券販売事業に従事していた。
ANAあきんどに残るのは航空券販売事業に従事していた社員。航空券販売事業は東京に集約され、国内33支店に配属される約120人のミッションは地域創生事業になる。
つまり彼らの仕事は、従来のルートで航空券を売ることではなく、地域の課題を見つけ出して地域創生につなげることだ。