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このところ、さまざまな不祥事が取りざたされている霞が関だが、官僚が自民党政権に「忖度」しているせいだといわれている。忖度の理由は、首相官邸が官僚組織の人事権を掌握しているからだ…という声もあるが、人事権の掌握自体は、世界的に見ても珍しいことではない。日本の問題はもっと根深い。日本だけが「忖度」する官僚になったのはなぜなのか。(立命館大学政策科学部教授 上久保誠人)

日本の政治と官僚の「忖度」関係は、世界的にも特殊

 霞が関の官僚の不祥事が続いている。首相官邸が、官僚組織の人事権を強力に掌握したことで、官僚が政治に「忖度」するようになりモラルが低下したという。若手官僚の大量離職や、官僚志望の学生の激減など、霞が関では人材難もささやかれるようになった。

 だが、世界的に見て、首相官邸や大統領府が官僚組織の人事権を掌握すること自体は、珍しいことではない(第183回)。

 しかし、それらの国で官僚の政治への「忖度」が問題になることはない。

 ということは、つまり、首相官邸が強力な人事権を持つこと自体が問題なのではない。それが、官僚の「忖度」を生むのは、何か別の要因があるのだと考えられる。

 日本の政治と官僚の関係が、世界的に見て「特殊」である理由の一つは、「自民党長期政権」にある。1955年に自民党が政権の座に就いてから66年のうち、政権から離れたのは、細川護熙・羽田孜の非自民政権と民主党政権の合計4年2カ月だけである。

 この長期政権が、世界と比較してみても、特異な政治的関係を作り上げた。