衆院解散が一向に実現しない
三党合意の枠組みは良くない
「近いうち」とされた衆議院の解散が一向に実現しない。臨時国会は、やっと10月29日から開かれるが、特例公債法案などの懸案を質に解散を迫る自民・公明両野党と、解散時期を明示しない民主党の間で折り合いがつかず、膠着状態になっている。
大雑把に言って、総選挙では大きく負けるだろうから解散したくない民主党と、解散に追い込んで政権を取ると共に、前回落選した大量の議員を早く復活させたいのが自民・公明両党という立場だった。
さっさと国会を開いて、国会の論戦で決着を付けるのがいいと思うのだが、1つ気になるのは、民・自・公三党での党首会談をまた開こうとする動きがあることだ。
消費税率引き上げの法案を通す際に、与党である民主党内であれこれ行なわれた議論は、「三党で合意を得る」という大目的の前にほとんど無視され、法案の内容が決まり、その後、採決では党議拘束がかけられて法案は可決に至った。
政治家、官僚の別を問わず、「面倒な議論抜きに物事を決めてしまいたい」と思う向きには、この三党合意という枠組みは大変便利だ。これは、今後、政権が自民党に移ったとしてもそうだろう。
しかし、消費税のような重要な問題は、党首と幹事長といった政党幹部同士の談合で物事を決めるのではなく、国会の場でオープンに議論をして内容を決めるべきものだろう。たとえば、今後、年金制度がこのような方式で決められるとすると、由々しき事態だ。
三党合意型の談合が、今後も行なわれることがないよう、注意していきたい。
この膠着した状況下で、前原誠司国家戦略担当相が、21日、フジテレビの番組『報道2001』で、「私の感覚で言うと、年明けに解散したら『近いうち』じゃない。首相は約束を絶対に守る人だ」と述べた。年内に解散すべきだとの意見とも取れるが、この発言はどう解釈したらいいのか。
前原氏の発言は(威勢はいいが)実現しないことが多いので、今回の発言は、解散を先送りしたい民主党の願かけではないか、というのが筆者が最初に思いついた解釈だったが、もちろんこれは冗談だ。