国内封鎖中の北朝鮮、脱出の実態

 北朝鮮は昨年1月22日に外国人観光客の受け入れを全面停止し、2月上旬に空路の定期便も停止して国境封鎖へ入った。

 その後、3月、12月、さらに今年の3月にも平壌駐在の各国外交官や中国人在住者、国際機関の関係者などが相次いで脱出している。北朝鮮のロシア大使館は1日、公式フェイスブックページで、無人となった各国大使館の写真とともに、現在北朝鮮に残る外国人は290人ほどだと明かしている。

 脱出した多くの外交官や外国人駐在員は、平壌から北上し、中国丹東へ陸路で出国するルートを使っている。しかし、冒頭取り上げたトロッコ脱出したロシア外交官一家は、日本海側を北上し、ロシア・ハサンへ出国している。母国だから当然だと思うかもしれないが、問題は出国までにかかった時間だ。平壌から32時間は国内列車に乗り、さらにバスで2時間かけて移動したうえで、トロッコを手押しで1時間動かしてロシアへ出国したとロシア大使館は伝えている。

国際列車の通過待ちをする北朝鮮のローカル線

 仮に中国への出国であれば、平壌から新義州まで約230km、自動車なら3時間ほどで中朝国境までたどり着ける。現在、中国は入国地で2週間の強制隔離となるので、丹東で隔離処置を受けることになる。

 ロシアと中国は、対米では緊密に連帯しているように見えるが、実は米国以外の問題ではあまり親密とはいえない。そのため、ロシアとしては、北朝鮮国内の移動時間が長くなっても、自国の外交官を中国で隔離する事態は回避したかったようだ。

 ロシア外務省は、3等書記官の3歳の娘の体調に問題があったので、身体的な負担を減らすため、ロシアへ出国したと説明しているが、32時間も普通席しかないローカル線で移動させるほうが子どもへの負担は大きいだろう。