台湾への半導体一極集中
何か起きれば「終わり」

 おわかりだろう、台湾だ。

 ご存じの方も多いかもしれないが、実は今、台湾は世界の半導体生産を一手に引き受けるという、非常に危なっかしい状態になっている。

 まず昨年、アメリカからファーウェイが制裁強化を受けたことを機に、台湾を代表する世界的半導体ファウンドリー・TSMCが空前の繁忙期に入った。在庫を確保したいファーウェイから、注文が殺到したのだ。

 それに加えて、今年2月のアメリカ・テキサス州の大寒波で、パワー半導体シェアナンバーワンの独インフィニオン・テクノロジーズなどの半導体企業の工場が、そろって操業停止に追い込まれた。そしてダメ押しをしたのが、日本の相次ぐ半導体工場火災だったというわけだ。

 実際、3月30日、梶山弘志・経済産業相が記者会見で「ルネサス工場火災に関して、一部台湾の半導体メーカーに代替生産を要請した」と述べている。日本は半導体火災で生じた遅れをどうにかしてほしいと、台湾にSOSを送っているのだ。

 結果、台湾の半導体産業は大活況で、TSMCは3年間で11兆円という、日本ではもはやほとんど聞かない投資計画が持ち上がり、雇用も増えて高級マンションも飛ぶように売れているという。ただ、このような「半導体一極集中」が、台湾にとって大きなリスクであることは言うまでもない。

「世界の視線はさらにTSMCなど台湾勢に集まるようになった。だがすでに台湾の生産能力は限界。TSMCの劉徳音董事長もついに3月末『世界が台湾を誤解しないことを願う』と疲れ気味に語った。それでもTSMCは南部の台南市を中心に今、広大な敷地で新工場の建設をあちこちで急ピッチで進める。その光景はどこか世界からせかされているようにも映る」(日本経済新聞4月7日)

 世界の半導体工場・台湾。それは裏を返せば、今ここでもし何かのトラブルが発生したら、世界の自動車、スマホ製造ラインは大混乱に陥るということだ。そのとき、もし中国がしっかりと半導体在庫を確保していて、さらに自分たちでもそれなりに生産体制を築いていたら――。

 世界の半導体勢力地図は、一気に塗り替えられてしまう。