緊急事態宣言の延長について「根拠がない」という批判が強まっている。ただ、それでも今後も日本政府の「根拠なきコロナ対策」という方針は、さほど大きな変化がないのではないかと思っている。なぜそんな悲観的なことを言うのかというと、これが「国難」に直面した日本でよく起きる自滅パターンだからだ。(ノンフィクションライター 窪田順生)
緊急事態宣言の延長が
「根拠がない」と批判を浴びる理由
「根拠なき緊急事態宣言延長」が批判を浴びている。
宣言前には「解除の目安は東京の新型コロナウイルス感染者数が1日500人以下」と言っていたにもかかわらず、それをクリアしても「病床がひっ迫している」の一点張り。これを改善するため、現在の病院全体の2割程度しかない公的医療機関頼みのコロナ対応をどう変えるのかという話は一切ない。
「民間病院にもっと協力してもらったら」という意見が出ても、「今解除をしたら即リバウンドだ」「もっと数を減らさないと第4波が来るぞ」と恐怖をあおるばかり。そんな政府の姿勢を疑問視する人たちが増えてきているのだ。
中には、あまりの不条理さから、コロナ患者を扱いたくない民間病院の経営者が多く属する業界団体・日本医師会からの「圧力」を示唆するメディアもある。以下の記事タイトルを見るだけでも、その辛辣な内容は想像できるのではないか。
『緊急事態宣言延長は根拠不明、常套句ばかりで「説明しない政府」の大問題』(ダイヤモンド・オンライン3月10日)
『菅首相の緊急事態再延長の根拠なのに…「病床逼迫の定義ない」と加藤官房長官』(東京新聞3月4日)
『「医師会」が緊急事態宣言の延長にこだわる本当の理由 民間病院に患者が溢れてくることを懸念』(デイリー新潮2月25日)