妻の浮気が原因で離婚。突如、5歳の息子との父子家庭になった。手元に残された全財産は90万円。定時退社で保育園へ息子を迎えに行く毎日で、残業代ゼロ。年収400万円で、カツカツの生活だった。ギリギリの節約生活で、4年で1000万円を貯め、本格的に株式投資を開始。紆余曲折を経ながらも某企業の大株主になり、資産2億円以上を築いた。いまや成長し、就職した息子とふたりで焼鳥屋に行ったとき、これまでの半生を振り返り、「投資家」と「労働者」の話をした。
「サラリーだけで生きられる時代は終わった」
「億の資産をつくるにはお金に働いてもらうことだ」
「リスクをとらないと得られるものはないぞ」
離婚して父子家庭になり、全財産90万円から資産2億円以上を築いた父親が、投資術を初公開。いま息子へお金と投資の話を教える『どん底サラリーマンが株式投資で2億円』

全財産90万円から株式投資で2億円<br />全財産を投資した翌日、大事件勃発!Photo: Adobe Stock

残されたお金を
全額投資するも……

【前回】からの続き。

アルバイトから帰ってきた妻を問いつめると、あっさりと浮気を認めた。

その後の数日間は仕事も何も手につかなかったが、改めて考えてみると、仕事ばかりで妻を顧みなかった自分も悪かったと反省。

妻を非難しても仕方がないと考えるようにした。

とはいえ、これ以上妻と1つ屋根の下に住むことには耐えられなかったし、彼女も浮気相手と一緒になりたいようだったので、離婚することにした。

問題は、1人息子の親権だ。

日本の法律では、母親の親権は父親よりも格段に強い。

妻の浮気が離婚の原因とはいえ、裁判をすると十中八九、親権は母親に属するようだ。

一方、開き直って何度か電話をかけてきた妻の浮気相手は、かなり荒っぽい口調で喰ってかかってくるなど、切れやすい一面もあるようだった。

妻に親権が渡れば、あの男に、かわいい1人息子が邪魔者扱いされて傷つけられかねない。

そう心配になり、妻に親権を要求すると、「親権は渡します」とあっさり納得してくれた。

その点は前妻に感謝している。

息子は幼いながらも、妻に新しい男ができたことを良く思っておらず、この頃は自分を慕っていてくれたので、黙ってついてきてくれた。

あとは財産分与の問題が残った。

給料が振り込まれる預金通帳とキャッシュカードは、家計を握っていた妻がそのまま持って行ってしまった。

私と息子には、証券口座にあった約130万円だけが残された。

離婚が成立したのが、2001年9月10日。

その翌日、自暴自棄になったこともあり、証券口座に残された130万円を全額株式にぶち込んだ。

このあたりの記憶は飛んでいて曖昧だが、いくつかの銘柄を買ったと思う。

するとその夜、(米国時間の朝)、イスラム過激派の国際テロ組織アルカイダが米国で旅客機4機をハイジャックし、そのうち2機がニューヨークの世界貿易センタービルに突っ込んだ。

そう、「米国同時多発テロ」が起こったのだ。

夜のテレビニュースで、旅客機が世界貿易センタービルに突っ込んで爆発するシーンを目の当たりにした。

あまりにも非現実的な映像に何事が起こったのか、すぐには理解できなかったが、全貌がわかってくるにつれ、「これは大変なことが起こったぞ!」と身震いした。

空前絶後の出来事に、テロ現場にほど近いニューヨーク証券取引所は、9月17日まで休場。

日本の株式市場は開いたものの、事件の余波が直撃して相場は総崩れ。

1974年以来、17年ぶりに日経平均株価が1万円を割り込んだ。

もちろん前日、証券口座に残された130万円を全額ぶち込んだ銘柄も軒並みストップ安。

翌12日朝、すぐに売り注文を出したものの買い手がつかず、売買が成立しない。

そればかりでなく、証券会社と連絡がつかない状態が続いた。

数日後にやっと連絡がきたと思ったら、「残高は90万円になっていますが、どうしますか?」と言われて、頭が真っ白になった……。