新型コロナウイルスワクチンの接種で英米に大きく出遅れていた欧州連合(EU)諸国が転機を迎えつつある。ワクチンの供給に支障が生じないことが前提だが、年央までに事態が好転する兆しが出てきた。英アストラゼネカ製ワクチンの安全性を巡る懸念など、足かせとなる要因はなお残る。だが、社会的および政治的な圧力が強まる中で、欧州の政策担当者やアナリストからは、夏には潮目が変わるとの慎重ながらも楽観的な見方が出ている。ワクチンメーカーも生産を加速させており、秋までには経済再開を実現できるだけの十分な量を供給できると話している。専門家の分析では、7月下旬までにEUの成人の50%以上がワクチンを接種すれば、正常化への道が開けると推定されている。ただこれは、複数のメーカーからの供給が途絶えることなく、当初接種ペースを遅らせていた物流や行政手続きなどの制約を克服できるかにかかっている。