インフレ率の上昇を望んでいた人々には朗報がもたらされた。待っていたものが到来したのだ。米労働省は9日、3月の卸売物価指数(PPI)が前月比1.0%上昇したと発表した。これはエコノミスト予想平均の倍の水準だ。前年同月比の上昇率は4.2%で、物品に限った同上昇率は7%に達した。前年同月比の上昇率が高くなった要因の1つは、2020年の数値が新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)の影響で低かったことだ。また、パンデミックが沈静化し、消費者がため込んだ貯蓄と政府補助金を支出に回す中で需要が急増する一方で、商品の供給が滞っていることも、最近の物価上昇の加速に関係している。こうした理由から、連邦準備理事会(FRB)のエコノミストらは、インフレが「一時的」になり、供給面での制約が緩和されるにつれ、年内には後退するだろうと述べている。彼らが正しいことを祈りたい。しかし、パンデミックのロックダウン(都市封鎖)が終わって経済が活況になり、失業率が急速に低下し続けているにもかかわらず、緩和的な金融政策を取ることの影響をFRBが過小評価している可能性もある。