米アラスカ州アンカレジで先月行われた米中高官会談で、すぐに明らかになったことがある。中国の習近平国家主席の外交使節団が会談の場に持ち込んだものが、和解の象徴であるオリーブの枝ではなく、新たな世界観だったということだ。米バイデン政権の当局者らが予想していたように、外交政策トップとして習氏を支える楊潔篪(よう・けつち)共産党政治局員と王毅外相という中国側カウンターパートはこの初会談で、トランプ政権時代の中国を標的とした政策の転換を求めた。アラスカ会談の内容を知る米中の当局者らによれば、中国政府は、定期的な「対話」の場を復活させたいと考えていた。米国側はこうした対話を時間の無駄とみなしていた。楊氏は予想外の行動も見せた。同氏は16分間にわたって、米国の人種差別問題や民主主義の失敗について説教したのだ。中国側当局者らによると、そこには、中国政府が自らを米国と対等の存在とみなしていることを明確に示す狙いがあった。同氏はまた、中国政府が主権にかかわる不可侵の問題ととらえる台湾との最終的な統一について、米政府が干渉すべきではないと警告した。