新電力業界で今年最大の大型倒産が発生した。熾烈な過当競争に加え、電力調達コストの異常な高騰に耐えきれず業界大手があえなく破綻した。渦中の業界で今後、倒産ラッシュのきっかけになるのか。注目が高まっている。(東京商工リサーチ情報部 増田和史)

負債総額は464億円
新電力業界で最大の倒産

F-Powerが入居するビル
今年3月に経営破綻したF-Powerが入居するビル(撮影:東京商工リサーチ)

 電力小売事業者(以下、新電力)大手のF-Power(東京都港区)が3月24日、東京地裁に会社更生法を申請した。負債総額は2021年に入り最大の464億円。新電力業界では2016年4月に破産した日本ロジテック協同組合の負債163億円の約3倍に達する最大の倒産となった。

 一般家庭向け電力の完全小売り自由化(以下、小売り自由化)が始まり、今年4月で5年が経過した。だが、2021年は年始から電力卸売価格が異常なまでに高騰し、大混乱の様相を呈している。

新電力の最古参
かつては業界トップの座にも

 F-Powerは2009年4月に設立、電力サービスのファーストエスコ(現:エフオン、東証1部)の電力販売事業を承継してスタートした。

 電力小売りの認可を受けた登録電気事業者は現在、716事業者を数える。そのなかでも登録番号「A001」のF-Powerは最古参だ。顧客のライフスタイルに応じたさまざまなプランを拡充し、積極的な営業戦略で年間売上高は瞬く間に1000億円超に急成長した。沖縄県を除く、全国で他社に先駆けてサービスを展開し、独立系新電力の雄として存在感は高く、2018年4月には新電力の電力販売量でも全国トップに上り詰めた。