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米ファイザーは、パンデミック下でワクチン開発にいち早く取り組み成功した企業の一つだ。前回紹介したモデルナとは異なり、伝統的な大企業であるファイザーが、迅速なワクチン開発に成功できた理由とは。また、DXが加速する中、日本企業にチャンスはあるのか。DXやAIビジネス研究の第一人者である、ハーバードビジネススクールのマルコ・イアンシティ教授に聞いた。(聞き手/作家・コンサルタント 佐藤智恵)
モデルナとファイザーが
ワクチン開発に成功できた理由
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佐藤 モデルナはわずか2日で新型コロナウイルスのワクチンを設計したと報道されていますが、なぜこれほど短期間に開発できたのですか。
イアンシティ その理由は主に二つあると思います。一つは、「mRNAワクチン」の特性です。mRNAワクチンは、ウイルスの表面にあるタンパク質(スパイクタンパク質)のゲノム配列を解析し、そのデータをもとにmRNAを人工的に合成し、脂質でコーティングして、製剤化します。つまり、ウイルスの表面にあるタンパク質の遺伝情報さえ解析できれば、短期間に設計することが可能です。
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もう一つはモデルナが2010年の創業以来、一貫して「mRNAワクチン」を開発してきたことです。モデルナにはすでにmRNAワクチンに関する豊富な知識と技術が蓄積され、「mRNAプラットフォーム」もありました。
こうした背景から、新型コロナウイルスの感染が確認されたとき、すぐにウイルスのゲノム配列を解析して、ワクチンの設計にとりかかることができたのです。
佐藤 モデルナと同じようにmRNAワクチンをいち早く開発したのがファイザーです。ファイザーはモデルナとは対照的に伝統的な大企業です。にもかかわらず、なぜこれほど早く開発できたのですか。