ケース(2)
52歳でリタイア+60歳時点で投資用不動産を売却

【60歳以降のTさんの収支など】
・年間収入額:無収入(60〜64歳)→280万円(年金、65歳以降)
・年間支出額:800万円(生活費のみ)

 ここまでの試算では、65歳まで不動産収入がある形で試算しましたが、次に、ケース(1)の前提を踏襲しつつ、60歳時点で投資用不動産を売却した場合を考えてみましょう。

 毎月の不動産収入がなくなるため60歳から無収入となり、年間収支は800万円の赤字となります。5年間で4000万円の赤字です。仮に投資用不動産の売却額を記載の評価額通りで5000万円とすれば、1000万円が金融資産にプラスされ、65歳時点の金融資産額はケース(1)の試算結果である440万円と足し合わせて1440万円になります。

 また、Tさんが65歳から受け取る年金額はケース(1)と同じく、2割減の280万円とします。

 不動産を売却している場合、65歳以降の年間収入は年金の280万円だけです。手取額は245万円として考えましょう。支出は変わらず800万円とすると、赤字額は555万円です。65歳時点の金融資産は1440万円なので3年も持たずに底を尽くことになります。

 パターン(1)(2)では、今回は来年52歳で退職をする形で試算しましたが、現状の生活スタイルでは来年での早期リタイアは難しいといわざるを得ません。

 では、本当に早期リタイアはできないのか?といえば、そうではありません。生活費(支出)を見直せば可能です。試しに2年後、53歳で早期退職するパターンを試算してみましょう。