おもしろ雑学 世界地図のすごい読み方バルト海に面したロシアの飛び地領土、カリーニングラード Photo:PIXTA

地政学が一大ブームだが、そのベースとして必要なのは「世界地図を読む力」、すなわち各国の文化や歴史背景、政治経済や社会情勢に関する深い地理的知識に他ならない。本連載では、話題の新刊書『おもしろ雑学 世界地図のすごい読み方』からの抜粋で、日本人があまり知らない世界各地の意外な実情をわかりやすく紹介する。今回は、本国から離れた飛び地領土、隣国に納税し続ける小国、国の中にすっぽり囲まれた内陸国など、世界でも珍しいケースを紹介する。

ロシアの巨大な飛び地、
カリーニングラードはなぜできたか

 世界最大の国土を有するロシアは、バルト海の沿岸に大きな飛び地をもっている。その名はカリーニングラード。リトアニアとポーランドに挟まれた、日本の種子島の半分程度の広さの土地だ。

 帝政ロシア時代、ソ連時代には軍事都市として知られ、現在も多くのロシア軍の関係者が暮らしている。その一方、哲学者のカントやハンナ・アーレント、建築家のブルーノ・タウト、幻想小説作家のホフマンなどの文化人を輩出。2018年のサッカー・ワールドカップ・ロシア大会で開催都市のひとつになったことも記憶に新しい。

 このカリーニングラード、現在は飛び地だが、ソ連時代はソ連本土と地続になっていた。エストニア、ラトビア、リトアニアのバルト三国がソ連の構成国だったからだ。しかし、ソ連崩壊によりバルト三国が独立したため、カリーニングラードはソ連本土(現・ロシア本土)から切り離され、飛び地になってしまったのである。