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早ければ来夏からのスタートを目指して、ヨーロッパサッカー界を代表するビッグクラブが集結していた「ヨーロッパスーパーリーグ」構想があっけなく崩壊した。サッカー熱の低い米国の大手投資銀行が動いた背景とは。(ノンフィクションライター 藤江直人)

欧州トップのクラブが続々集結
創設チームは昇降格なしの皮算用

 唐突に打ち上げられた、季節外れの豪華絢爛な花火が、瞬く間に夜空の彼方へ消えてしまった――。ヨーロッパサッカー界を発信源として世界中を揺るがせながら、発表から48時間とたたないうちに崩壊したサッカーの「ヨーロッパスーパーリーグ」構想を例えると、こうなるだろうか。

 騒動の火ぶたが切られたのは、日本時間の4月19日未明だった。レアル・マドリードやバルセロナ、マンチェスター・ユナイテッド、ACミランなど日本でもなじみのあるヨーロッパのビッグクラブが、新たなリーグ戦を創設する構想に合意したと電撃的に発表した。

 中心として動いていたのは、日本代表MF久保建英の保有権を持つクラブとしても知られる、スペインのレアル・マドリードだった。スーパーリーグを運営する新たな組織のトップに就任した、同クラブのフロレンティーノ・ペレス会長は共同声明の中でこんな言葉をつづった。

「サッカーは40億人以上のファンを抱える、ただ一つのグローバルなスポーツであり、われわれのようなビッグクラブには、サッカーを愛するファンが求めるものに応じる責務がある」

 創設で合意したのは、スペイン勢がレアル・マドリード、バルセロナ、アトレティコ・マドリード。イタリア勢がACミラン、インテル、ユベントス。そしてイングランド勢がマンチェスター・ユナイテッド、マンチェスター・シティ、リバプール、アーセナル、チェルシー、トッテナムだった。

 さらに三つの強豪クラブを加えた15クラブを創設メンバーとして固定。前シーズンの成績に応じて5クラブが入れ替わる形で参加し、8月から翌年5月にかけた戦いで頂点を目指す。試合は原則として平日に開催され、参戦するクラブは週末に各国のリーグ戦も並行して戦っていく。