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日本代表の左サイドを駆け抜けてきた34歳の鉄人、長友佑都が約2年半ぶりにヨーロッパ5大リーグの舞台に、そして約1年ぶりに森保ジャパンの戦いに帰ってきた。トルコの強豪ガラタサライの登録メンバーから外れた今年2月に公式戦のピッチに立つ資格を失い、退団後の夏には無所属となりながら8月末にフランスの名門オリンピック・マルセイユへ加入。真っ赤な情熱をたぎらせている左サイドバックが、再び雄叫びを上げるまでの舞台裏を追った。(ノンフィクションライター 藤江直人)

長友はなぜ5カ月もの空白期間を受け入れたのか

 無名だった少年時代から、日本サッカー界の歴史に名前を刻むレジェンドの一人へ。痛快無比なサクセスストーリーを34歳になったいまも紡いでいる鉄人、長友佑都が突っ走ってきたサッカー人生を振り返ると、今年に入って生じている空白期間の存在に気がつく。

 トルコの強豪ガラタサライの一員だった今年2月から、契約満了を迎える6月30日までの5カ月間にわたって長友はピッチに立っていない。新型コロナウイルスによる3カ月あまりの長期中断があったが、たとえ不測の事態に見舞われていなくても状況は変わらなかった。

 実は2月に入って、長友はガラタサライの登録メンバーから外れた。1月末に閉じた移籍市場でガラタサライはウルグアイ代表の左サイドバック、マルセロ・サラッキを独ブンデスリーガのライプチヒから獲得。同時に上限のある外国籍選手の人数を調整する必要に迫られていた。

 イタリア・セリエAの名門インテルミラノから加入して2年。左サイドバックとしてトルコリーグ連覇に貢献してきた長友だが、昨シーズンは精彩を欠くパフォーマンスがメディアやファンから批判されるケースも多く、ついには同じポジションの選手が補強されたというわけだ。

 冬の移籍市場で、新天地へ移る選択肢もあったなかで、長友は最終的には自らの判断で残留を決めた。ガラタサライに所属しているのに、いっさいの公式戦に出られない。ビジネスの世界に例えれば、閑職に追いやられる状況を甘んじて受け入れ、空白期間を生じさせたのはなぜなのか。