支出を見直し浮いたお金を運用
予定より400万円超、貯蓄を増やせるかも!?

 そこで毎月の生活費の中で減らせる支出を考えつつ、蓄えを増やすことを考えました。まず、支出については「全体的に少しずつ減らす」ことができそうです。Uさんが同僚とともに借りているルームシェアにかかる支出は、家族の協力とUさんの暮らし方を変えることが不可欠ですが、将来的には不要にできる可能性が高いです。

 また、Uさんのご家庭はもう教育費の心配がいりませんから、ご夫婦とお母さんの生活防衛資金のみを現金(預貯金)で残すことを考えると良いでしょう。生活防衛資金としては、生活費の1年分ほどを想定しておきたいもの。Uさんは生活費が1カ月あたり約30万円強ですから、今ある550万円の預貯金で十分だといえます。反対に、それ以上の額は「運用すること」を考えて良いということです。

 この先、積立貯金していく2万円をそのまま貯金していけば10年で240万円です(利息は誤差の範囲として)。一方で、これを積立投資信託にして、平均的に4%の運用益が出ると仮定すると、約295万円になります。もしルームシェアにかかる支出をなくせるのであれば、さらに3万円を運用に回せます。つまり、毎月5万円を積み立て運用できるのです。同じ額を貯金に回すなら600万円ですが、同じ条件で運用できたとすると10年で約736万円にもなります。10年で老後資金を136万円も増やすことができる可能性があるのです。

 運用してこれから先の蓄えを700万円にできたとしたら、老後資金は2250万円になります。生活費が3万円ほど減っていることも影響し、老後資金は86歳まで持つことになります。6年、金銭的な延命ができるというわけです。

 さらに支出を見直してその分を運用に回していけると、もっと老後資金を増やせることでしょう。この運用に関してはある程度知識が必要になりますが、リスクの少ない運用方法で複利を生かしつつ実践していけば、老後資金を増やしていくことができるわけです。

 Uさんはこの家計相談の中で、現状の支出をよりコンパクトにできそうだということ、貯金がある程度あればあとは資産運用をしても良いこと、そして運用をすると貯金よりもお金を増やせる可能性が高いことに期待を持てたようで、早速取り掛かることにしました。

 また生活にかかる支出を減らすことは、将来的に貯蓄を取り崩す金額を少なくすることに有効であることを実感していました。自分で何度も積み立て投資のシミュレーションをしながら、「もっと早くに知っていれば、また違う老後の計画を立てられた」と悔しがっていたのが印象的です。

 何より、老後に突入する前にそれに気が付けたことは良かったと思います。今からでも十分改善できます。皆さんも現在の支出内容や貯蓄のペース、方法で本当に十分なのか、この機会にぜひ考えてみてください。

(家計再生コンサルタント 横山光昭)