東京や大阪に発出されている緊急事態宣言が延長されるなど、コロナ禍は依然として収まる様子を見せない。閉塞感やストレスの限界を感じている人も多いだろう。 
そんななか、『ゼロ秒思考』(2013年、ダイヤモンド社)という本が売れ続けている。発売から7年となる2020年度には、過去5年で最多の売り上げを叩き出すという異例のロングセラーぶりで、累計では30万部を突破した。
ペンとA4用紙だけで思考のスピードと質を飛躍的に高めることができる「メモ書き」のノウハウを記した1冊なのだが、SNSでは「ストレスを解消できた」「誰もが実践するべき」とも絶賛されている。
本稿では『ゼロ秒思考』から特別に一部を抜粋・編集し、A4用紙の裏紙が「メモ書き」に最適な理由をご紹介する。

パソコンやノートよりも、「A4用紙の裏紙」が「『ゼロ秒思考』のメモ書き」に最適なワケphoto:adobe stock

遠慮なく書けるA4用紙の裏紙がベスト

 メモを書く際は、A4用紙の裏紙がベストだ。不要な資料の裏の白い面をメモ用紙として使う。使用済みの紙だと、メモをどんどん書いても気兼ねしない。遠慮なく書き進むことができる。両面真っ白な紙に4~6行書いてみるとわかるが、1ページにたったそれだけの量で毎日10~20ページ書き続けることに多分気が引けてくる。裏紙であればまったく気にならない。

ノートは整理ができないのでNG

 ノートを使って整理している方が多いと思われるが、私はあまりお勧めしていない。自分自身、最初はノートに書いていた。ところが、思いついたこと、気になることを書き続けると、すぐ1冊が終わってしまう。どんどん書くので、あっという間に20冊くらいになった。

 何より問題は、思いついたことを書くのはいいが、整理がまったくできないことだ。時系列に書きためていくだけなので、似たようなことを数日か数週間おいて書いた場合、整理のしようがない。

日記帳だと頭と気持ちが自由にならない

 日記帳も同様の理由でお勧めできない。まず、ノートと同様に整理ができない。さらに、日記帳の性格から、すべて時系列に書くことになる。時系列に書くと、「あの時あんな嫌なことがあった」とむしろ悪い記憶を日付にひもづけるせいか、忘れにくくなる。過去を反省することは重要だが、日記帳という形で過去を固定していくやり方は、頭と気持ちを自由にする「メモ書き」の発想とはどうも馴染まない。

言葉をダイナミックにはき出すのがポイント

 頭の中の発想の広がりやもやもや感は、つらつらと日記に書くよりも、1件1ページでA4用紙に書きだしていくほうが整理しやすい。記録というよりは、ダイナミックに頭の外にはき出していく感じ、書き出していく感じだ

 日記帳をお勧めできない理由がさらに三つある。一つは、A4用紙などに比べてはるかに高価なことだ。二つ目には、閉じられているので、気軽に書き散らすことがしづらいことだ。そして、思いついたことをすぐ書き留めるようにすると、おそらく2週間くらいで1冊使い終えてしまい、日記帳そのものの整理がつかなくなる。どこに何を書いたか到底わからない。

デジタル端末では文字頼りになってしまう

 多くの方がパソコンを使い、ワード、パワーポイント、エクセル、キーノートなどにメモを取っておられると思う。ただ、思いついた時に素早くメモを書く、さっと図を描く、並べて整理する、フォルダに分けて他のA4資料等と整理するといったことを実現するには、今のパソコンではむずかしい。そもそも、パソコンをまず立ち上げないと書くことができない。その間に頭に浮かんだ内容が飛んでしまう。

 ブラインドタッチのできるパソコンのほうが手書きよりずっと早い、という方がおられる。文字だけなら確かにそういう面があるが、ちょっとした図を描こうとすると、まったくにっちもさっちもいかなくなってしまう。10秒でかけるポンチ絵に5分も10分もかかってしまい、頭の回転が止まってしまう。

 結果として、パソコンの場合は文字で書けることしか考えなくなる点も問題だ。図を描くほうがはるかにてっとり早いことも、すべて文字表現だけで済まそうとすることになる。文字で表現できないことは自然に端折ってしまう

 スマートフォン、タブレットでも同様だ。2×2のフレームワークなどをさっと描くことができないし、そもそも1分で4~6行、合計で150字も書くことはほぼ不可能だ。メモを並び替えて考えを深めることも当然できない。

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