逆相関の関係にある
新型コロナの死亡者数と経済成長率
新型コロナウイルスは世界中で猛威を奮っているが、新型コロナとの戦いぶりは国によって大きく異なる。図表1は、横軸に人口1万人当たりの新型コロナによる死亡した人の数(4月18日までの累計)、縦軸に昨年10~12月期の経済成長率(前年比)をとって、国別にプロットしたものだ。
欧州・米州大陸の国々の人口当たりの累計死亡者数は、アジア・オセアニアの国々を大きく上回っている。新型コロナによる死亡を把握する精度は、国によって差があり、単純な比較は難しいが、これだけはっきり差が出ると、国ごとの感染対策の巧拙や医療体制の水準の違いだけでは説明できない。この2つの地域の間では、何が原因かはっきりしないが、新型コロナウイルスに対する人々の抵抗力に差があるようだ。
次に、こうした感染の程度の違いと経済成長率との関係を見てみると、死亡者数と成長率の間には負の相関があるように見える。新型コロナが猛威を奮っている国の方が、成長率は低くなる傾向が読み取れるということだ。
さらに、アジア・オセアニア地域の中でも、中国、台湾、ベトナム、ニュージーランドのように感染をしっかり押さえこんだ国では、昨年10~12月期の経済成長率がプラスになっているところもある。経済のグローバル化が進んだ今の時代に、コロナショックによる経済活動の落ち込みの影響を免れるというのは無理な話だが、感染を徹底的に抑え込むことは経済活動にプラスに働くと言えそうだ。