上司から呼び出しを受けた今年1月、欧州連合(EU)のティエリー・ブルトン欧州委員(域内市場担当)は、EUがワクチン接種の取り組みで支援を必要としていることを悟っていた。当時、新型コロナウイルスの感染者数は急増し、死者は40万人を超えていた。EUはワクチンの承認で英米に数週間遅れており、実際のワクチン投与ではさらに水をあけられていた。そこに追い打ちをかけるように、米ファイザーと英アストラゼネカがワクチンの供給が遅れると通告し、EU当局者の間には衝撃が走っていた。ウルズラ・フォンデアライエン欧州委員長はブルトン氏を呼び、まずは製薬会社幹部とのビデオ会議、続いてアンゲラ・メルケル独首相、エマニュエル・マクロン仏大統領との電話会議に同席させた。
EUのワクチン救世主「ミスター解決屋」
仏財務相や多国籍企業CEOを歴任したティエリー・ブルトン氏
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