中国による
あきれたワクチン外交

 中国のワクチン外交による台湾への圧力は、両岸問題だけでは収まらない。

 3月24日、南米で唯一台湾と外交関係を持つパラグアイの外務省は、中国の代理人と称する人間から「新型コロナウイルスの中国産ワクチンの提供を受ける条件として、台湾との国交断絶を要求された」と公表している。

 中国側はこの事実を否定しているが、中国産ワクチンの提供を通じて台湾との国交断絶を画策している勢力があるのは確かだろう。

 台湾外交部(外務省)はすぐに「ワクチンを政治手段に利用すべきでない」とし、台湾の外交に対する攻撃だと中国に反発した。また、パラグアイ外務省も「ワクチン提供を条件に台湾との関係断絶をほのめかすことは、パラグアイの主権を侵害しかねない」と非難の声明を出している。

 その後の中国の反応と発言は、あきれかえるものだった。

 4月8日に台湾外交部(外務省)は、パラグアイがインドから10万回分のワクチンを入手する交渉を人道的配慮から支援したことを発表した。

 すると同日、中国外務省の報道官は記者会見で、「ワクチンは政治の道具ではない」「ワクチンはウイルスと闘い、命を救うための薬で、政治利用するための道具ではないと台湾当局に教えたい」と批判。

 さらに「ウイルスを利用し、金銭外交を行うことで独立を図ることなど、どれにも未来はない」と威嚇する一方、中国の各国へのワクチン提供は「公明正大で清楚だ」と主張している。