世界に1つだけの神話?

 日本は、天照(あまてらす)という女性の神さまが孫の邇邇芸命(ににぎのみこと)に権力を譲り渡します。

 女性の神様が孫の男性に権力を譲る神話は、世界中にないと思います。

 もういわなくてもわかりますよね。
 持統天皇という傑出した人物が、自分の孫に位を譲りたくて、「日本書(紀)」という書物をつくった。

 これは部下になった藤原不比等(659‐720)にとっても都合がよかったわけです。

 不比等が頑張った時代は、元明(げんめい)天皇(在位707‐715)の時代ですが、元明天皇の孫の聖武(しょうむ)天皇(在位724‐749)は、不比等の孫でもあり、しかも自分の子どもの光明皇后(光明子、701‐760)の夫でもあるわけですから、藤原氏にとっても、女性から孫へという皇位の継承は願ったり叶ったりだったのです。

 ところが文武天皇は、まだ15歳。
 だから持統天皇は初めて上皇になった、太上(たいじょうてんのう)天皇です。